♪ワン・ツー・スリー・フォー
ストップ!ストップ!
ザ・ワンダースによるドゥワップ(?)的なコーラスで、この歌は幕を開ける。
ザ・ワンダースが何者で、他にどんな歌を手掛けたかを私は知らない。大好きだった『ドボチョーン一家』の主題歌を唄っていたのが、拓郎の「恋の歌」を演ったラニアルズだったと後に知って驚いたが、もしかしたらザ・ワンダースも、意外な歌を唄っていたかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
♪ストップと言ったら涙が止まる
ケンカをしたってくよくよするな
笑ってしまえば忘れるものさ(イエイ!)
この青春まっ只中の歌詞を、何の疑問もてらいもない声で、このリードボーカルはさわやかに歌い上げている。微塵の曇りもないさわやかさだ。納得づくで唄っているとしか思えない。いや、それを非難しているのではない。このさわやかさを持ってこそ、この楽曲は生きてくるのだから。
そしてこの「イエイ!」には参った。
はっきりと「イエイ!」と叫んでいる。これもまた、青空にこだましそうなさわやかさだ。
この「イエイ!」にひっくり返っていると、間髪入れず、次のパンチが聴く者を襲う。
♪そんなこと そんなこと 考えているから
ばっくはつ五郎ぉぉは ばくはつ五郎ぉぉは
いかしているんだよ
作詞は橋本淳氏。青山学院では、筒美京平氏と先輩・後輩の仲で、卒業後すぎやまこういち氏の所に二人とも出入りし、前者は作詞家に、後者はレコード会社の会社員から作曲家になった。
筒美京平氏の最初の大ヒットとなる「ブルーライト・ヨコハマ」は、この二人によって生み出された。
「ばくはつ五郎」の歌詞を見る限り、橋本氏の幅の広さには驚く。 しかし“言葉”は時代と共に歳をとる。
いかしているんだよ・・・ はないよな、とつい思ってしまう。
“いかれてる”も、もはや死語だ。
私がサラリーマン時代、仕事中に床屋に行って戻って来た課長に、丁寧語のつもりで
「課長、アタマ行かれたんですか?」
とお上手を云ったOLが、
「誰のアタマがいかれてるんだ!!」
と叱られたことは、もう遠い昔の話だ。おまけに蛇足。
♪ワン・ツー・スリー・フォー
ストップ!ストップ!
歌は2番に突入する。
今度は、ストップと言ったら涙をふいて、緑の野辺を歩けと唄う。そこで「好きだ!」と叫べとも。勿論「イエイ!」も付いている。
そしてやはり、そんなことを考えているから、ばくはつ五郎はいかしているらしい。
いくらあの時代の歌でも、この歌はあまりに素敵すぎる。
ばくはつ五郎は、そんなことを考えているから、ばくはつしているのだろうか
!?
“さわやかさ”は、一歩間違うと嫌悪だ。
この歌の“さわやかさ”は、容認の器を越えている。
そんなことを、そんなことを考えていると、今度は間奏のギターが私を襲う。この歌には油断しているヒマがない。
てけてけ、て〜けてけ、てけけけ、てけけ〜…
・・・・・・・
語る気力すらなくなるようなギターだ。
涙が頬を伝う。
ここでまた例のフックが出てくるのだが、
♪ワン・ツー・スリー・フォー
ストップ!ストップ!
この3コーラス目は、微妙にニュアンスを変えて唄われている。
♪ワン・ツーまでが pp(ピアニシモ)で、♪スリー・フォーでクレッシェンドする(爆笑)
それだけじゃない。
青空だって仲間だ。雲がみんなの笑顔を作るんだ、と考えてるばくはつ五郎を讃えるように、
♪そんなこと そんなこと
考えているからァァァァァァ〜
と、もったいぶった妙な伸ばしで、ここでも1番2番とニュアンスを変えて攻めてくる。
も、もうやめてくれ〜〜〜
と、のたうちまわっても、ばくはつ五郎は許してはくれない。
「ばっくはつごろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
とてつもない絶叫が歌を締めくくり、私は今夜も眠れずに、この歌がアタマの中をエンドレスで吹き荒れる。
『赤き血のイレブン』の「わが友 玉井真吾」も強烈な歌だが、今回は歌詞の紹介だけで、詳しい解説は別
の機会に譲ろう。
玉井真吾は へんなやつ
ばかか りこうか わからない
テレ屋で 陽気で おセンチで
おこりだしたら台風野郎
ケンカ ハレンチ なんでもやるが
やつはほれたぜ サッカーいちず
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