アニメソングに見る B面曲の感慨
Neither a maniac nor a collector understands.
 
 

 自動車を運転していたら、ラジオからいしだあゆみの『さすらいの天使』が流れてきた。こうして聴いてみるとなかなか佳い曲だが、この歌が流行していた当時はただのヒット曲としか捉えていなかった。
 けれど今日は違う。とにかく感動ものだった。それはこの曲の良し悪しのことではない。この歌を聴いたとたん、次から次へと忘れていた光景が甦り、涙がこぼれそうになった。

 いしだあゆみといえば『ブルーライト・ヨコハマ』だろう。『砂漠のような東京で』や『あなたならどうする』を挙げる人がいるかもしれない。そりゃあファンであれば先の『さすらい・・』や『幸福だったわありがとう』、『太陽は泣いている』、通 ならティンパン・アレイとのセッション盤を挙げるかもしれない。だが一般 的には『ブルーライト・・』だ。
 『ブルーライト・・』もナツメロには違いないが、『ブルーライト・・』ではこんな気持ちにはならない。
 それは『ブルーライト・・』はこれまでにもしょっちゅう耳にする機会があったからだ。ナツメロの番組でもいしだあゆみで取り上げられるのは『ブルーライト・・』だし、FM等の《横浜に関する歌の特集》みたいな企画モノでも必ず取り上げられる。懐かしい歌も、しょっちゅう耳にしていれば懐かしい歌ではなくなる。
 『さすらい・・』は勿論知っている歌ではあったが、ずっと耳にしていなかった。

 ここがポイントだ。

 本当に好きな歌はレコードやCDを買い、何度も繰り返し聴く。いまでもビートルズやオーティス・レディングは僕のヘビィ・ローテーションだ。だからビートルズやオーティスを聴いてもあんな気持ちにはならない。オーティスには泣ける歌が多いが、それとはまた違う感情だ。

 当時ヒットはしていたが、さしたるファンでもなく、そのアーティストの代表曲ではない歌。
 そんな歌に(忘れていたのではなく)どこかに仕舞われていた記憶が呼び起こされる。


 レンタルで『魔法使いサリー』のビデオを借りた。
 お馴染みの「♪マハリーク、マハーリタ・・」の主題歌を聴き、懐かしい話を観てエンディングテーマ『いたずらのうた』(こんなタイトルだったんだ)を聴いたとき、僕はタイムスリップした。

 僕たちわんぱくトリオだぞ
 いたずらするのが大好きさ
 女の子なんかいじめちゃえ

三つ子の唄のあとに

 「おやつあげないわよ!」
と、よっちゃんの台詞が入る。

 ああ、こんな歌があったなと懐かしみながら、それとは別 にえも云われぬ気持ちになった。


 うちは当時アパート住まいで、風呂も銭湯に通 っていた。アパートの前の道路はまだ舗装されてなく、オート三輪の自動車が走っていた。まわりの家の外壁は灰色の板だった。空き地も多く、土管が転がっていたりした。その土管の上から、風呂敷をマントに飛び降りたりしていた。牛乳は配達で、木製の牛乳入れがドアの前にあった。

 現在から見るとひどく貧しい風景の中で、僕は4本足の白黒テレビでその歌を聴いていた。


 懐かしのアニメを扱うTVプログラムも増えた。が、一部の歌を除きエンディングテーマが取り上げられることはまずない。だからB面 曲は、A面曲以上にノスタルジックなのだ。時代の匂いがするのだ。

 テレビアニメのB面曲を集めたCD全集も発売されている。

 一時の郷愁に浸るために購入してみるのもいいが、繰り返して聴くことで失ってしまう想いがあるかもしれない。

 

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