脇役劇場

 みなさん、こんにちは。このたび、コラム書かせていただくことになったソーハイです。子供のころ見ていたテレビまんがについて、主に脇役を書きながら作品を解説していきます。つまらない文章と思いますがよろしくお願いします。

第1回 ルパン三世と原本との関わり方


 さて、第1回は、ルパン三世 第1シリーズ(以下「旧ルパン」と略します。)について書きます。
 この作品の価値については改めて書く必要もないでしょう。インターネットで検索すれば作品についての解説はいくらでも出てきます。
 この掲示板でも、劇伴に詳しいHAYAKOさん、作品に思いを寄せるりーさ☆さんなど旧ルパンに詳しい方がたくさんいらっしゃいます。
 私の思い入れなどその方達に比べて足もとにも及ばないのですが、唯一私に出来る原本との関わり方を書いてみようと思います。これはどの解説でもほとんどとりあげられていないと思いますので。

 旧ルパンの原本がモーリス・ルブラン原作のアルセーヌ・ルパンシリーズであることはみなさんご承知のとおりでしょう。実は私はアルセーヌ・ルパンシリーズが大好きで、乏しい小遣いをはたいて全集を集めていました。
 そんな、ある日、新聞の番組欄の新番組にルパン三世というタイトルが目に入りました。これが、私と旧ルパンの出会いでした。

 「ルパン三世、おそらく、アルセーヌ・ルパンが現代によみがえって活躍する話しだろう。おもしろそうだな。」

 そう思ってさっそく、作品を見ることにしました。

 当時私は小学校高学年で、作品におけるオシャレな小道具やアダルトな雰囲気の音楽は理解できませんでしたが、スピーディな展開に痛快なアクション、そして、主人公の格好よさは大いに気に入り、以後、毎週見ることにしたのです。

 実は、私は最初から最後まで見た連続ものはあまり多くありませんが、旧ルパンはその数少ないシリーズの一つです。蛇足ながら、本作品が本放送で視聴率が振るわなかったことはみなさんご存じの通りですが、私の友人は、ほとんど、本放送時に見ていました。
 みんな、「あれだけおもしろかったのに視聴率が悪かったとは信じられない。」と言っています。

 話しを戻しましょう。本作品を毎週楽しみに見ていましたが、シリーズが進むに連れ、「この作品は、タイトルだけではなく、アルセーヌ・ルパンの作風を受け継いでいる。スタッフは原作を相当読んでいる。」という思いが強くなりました。

 天才的な頭脳を持ち、シャレ者で常に品位を重んじる。命知らずのスピード狂。銃の名手にして、変装の名人。弱者特に女性にはやさしいが、卑劣な悪党は容赦はしない。ターゲットは一流品のみで、盗みは常に持ち主や警察の鼻を明かすことを最大の目的としており、内容はそれほど重視しない。これは両者共通の作風です。旧ルパン三世は、アルセーヌ・ルパンの活躍を見事現代によみがえらせたと言ってよいでしょう。

 それでは、本作品のおもしろさはそれだけかというとそうではありません。
 旧ルパンは、無国籍主義でターゲットがあれば世界中どこにでも現れ活躍するというようになっています。
 国にこだわらないからルパンがメルセデスを愛車にし、銃はワルサーP38でも違和感がありません。熱狂的な愛国者で、ドイツ嫌い、フランスを中心にヨーロッパでの活動のみであったアルセーヌ・ルパンにはなかった活躍の場の広がり方です。
 もちろん、ただ無国籍主義にしても、おもしろくなるとは限りません。ファンを引きつけたのは、優れたスタッフの技量によるものでしょう。

 そして、主要な脇役達は日本人です。
 主人公が日本人でないのに違和感なく旧ルパンの世界に入れるのは、この設定が大きいようです。

 脇役の中で、私が印象深いのは銭形警部です。他の3人は旧ルパンのオリジナルと言えますが、実は銭形警部はアルセーヌ・ルパンのガニマール警部に当たります。
 ルパンを捕らえることに人生をかけ、してやられるものの、しばしば、ルパンを追いつめ、時には逮捕することもある腕利きで悪党どもに恐れられている敏腕警部という設定は両方の世界共通のものであり、ルパンとの時にはシリアス、時にはギャグである追いかけは、変わらない作品のおもしろさでありましょう。
 銭形警部はこの作品以降は、ルパンとのお約束の漫才の相手になってしまい、まぬけなギャグメーカーに見られるようになってしまいますが、敏腕警部である本来の姿のほうが似合っているような気がします。

 ルパンの相棒で銃の早撃ち名人「次元大介」、居合い抜きの達人で、ルパンと意気投合して仲間になる「13代目石川五右ェ門」、ルパンを惑わし、敵にも味方にもなるミステリアスな美女「峰不二子」といった個性的な脇役については、細かい説明は不要でしょう。
 彼らの存在なくして、旧ルパンは語れませんし、アルセーヌ・ルパンにはなかったおもしろさといえましょう。

 旧ルパンでは、ルパンの相棒は、次元だけ、五右ェ門と不二子は仕事に応じて、仲間になるといった色彩が強かったので、四人そろったときのおもしろさは格別でした。
 また、たとえば不二子の裏切りも違和感がなかったように思えます。

 ルパン三世はシリーズを重ねるごとに仕事のために集まるという色が薄くなり、銭形警部はルパンの漫才の相手になってしまい、ルパン三世は「アルセーヌ・ルパンの孫と名乗っている男」になってしまいました。
 私は、旧ルパンが一番好きですが、アルセーヌ・ルパンの孫という枠をはずし、お約束をつくって親しみやすさを入れたことが今日の人気につながっているのではないかと考えますので、必ずしも悪いことではないと思っています。

 さて第1回はこれにて終了です。はたして二回目があるのでしょうか(筆者にもわかりません)。

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