第三回は予告通り「少女マンガ」です。
皆様お察しの通り、里中満智子先生・・・のはずだったのですが、
思いのほか筆が進まず、後日改めてに致します。
里中先生なら、前回の水島新司先生つながりがすんなり完成して好都合だったのに・・・。
三回目にして早くも「蛇足コーナー」断念!?(*^^*)
ここは無理矢理でもいいからつなげちゃいます。)

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というわけで、『
赤き血のしるし』を採り上げます。
何が「というわけ」かというと、タイトルをご覧あれ!
燦然と輝く「
」の文字が・・・。
ふふふ、
流血大好き娘の名に恥じぬ選択でしょう?


作者は『
いらかの波』でお馴染みの
ウルフあき
さんこと、河あきら先生。
当時の
別マ河先生がホームグラウンドとしていた少女漫画月刊誌「別冊マーガレット」の略称)誌上でもたびたび「河あきら=オトコ疑惑」(?)が持ち上がっていましたが、れっきとした女性です!



自画像に描かれた河先生、
無造作ボサボサ長髪
(多くの河キャラと同じ髪型!)にサングラス、
くわえ煙草、そして常にズボン姿。
確かに「オトコ」と見紛うお姿ではありますね・・・。



実は私の
最初の「河あきら」体験がこの『赤き血のしるし』なのです。
昭和48年(1973年)の「別冊マーガレット」7月号を友人に借りて読んだのでした。

ちなみに当時の別マは「
ぜんぶ読みきり!!」という表紙の謳い文句の通り、
ところはつえ『ちるどちゃん』、いまいかおる『フーちゃん』といったギャグマンガ以外は
単発か前・後編モノが殆どでした。
執筆陣は超豪華。この号の掲載漫画は、
忠津陽子『プレイガールの条件』、西谷祥子『少女の恋(総集編/完結編)』、
浦野千賀子『赤い天使・恐怖の避暑地』、木内千鶴子『天国が見つからない』、
田中雅子『最上級生』、市川ジュン『リラの森の娘』、こやのかずこ『Oh!変身!?』など。
巻頭が忠津陽子『プレイガールの条件』、次がこやのかずこ『Oh!変身!?』、
そして三番目に『赤き血のしるし』が掲載されています。
他に、常連執筆者としては、和田慎二、美内すずえ、三原 順、柴田昌弘、山田ミネ子・・・。
好きな作家さんばかりです。(
敬称は省略させて頂きました
別マについてはまた改めて採り上げたいと思います。

さて『赤き血のしるし』。
表紙の煽り文句は「
ひとりぼっちの遼子がつかんだ幸せは!?
ひたむきな愛を描いた感動ドラマ!!
」。
「ひたむきな
」に傍点付きです。
作者自身、「
このお話はいつかきっと描きたいと思っていたものです。
ひとりの少女のひたむきに生きる姿を見守ってくださいね
」と
余白にコメントしています。
「ひたむき」がキーワードですね。

物語はもうすぐ16才になる主人公が、定時制高校の授業中、
見知らぬ誰か(昼間、その席に座る誰か)に宛てて手紙を書くシーンから始まります。


はじめまして。 私の名は林 遼子
この4月に新潟から出てきて小さな工場に勤めながら
夜、この高校へきています。
(中略)
職場の人たちとはめったに話をしないし、
学校の人たちとも親しくできないんです。

(中略)
どうかあなたに友達になってほしいのです。
この机を使って文通するだけの友達でいいんです。
(以下続く)」

地方から都会に出てきて定時制高校に通いながら働く少女・・・
今の少女漫画ならまずないでしょうね、この設定は。
時代を感じます。
「はじめまして」で始まるモノローグ風導入というのは少女漫画の古い手法ではありますが、
これは「誰か」への手紙を書く、というシチュエーションを兼ねていて、
そんなにあざとくはないかな。
今だったら「メル友求む!」といったところでしょうか?(*^^*)

当時の雑誌には「文通しましょう!」とか「ペンフレンド募集」といった欄が必ずありましたね。
「なるべくカッコいい男の子と」とか、図々しい希望を述べてるものがあったりして笑えます。
少女漫画誌だけかと思ってましたが、
「週刊少年キング」を見たら、やっぱり「文通コーナー」があったのには驚き!
平気で住所、載せてるし・・・。
漫画家の先生の住所も載ってますからねえ。
「ストーカー」なんてのがまだなかった時代なんでしょうか。
「幸福の手紙などを出すのはヤメましょう」なんて注意書きはありましたが。

さて、クラスメイトや同僚からは
「いつも何考えてんだかわかんなくてとっつきにくい人だよな」とか
「林さんなんか仲間に入れたらしらけちゃうわ――っ」なんて言われてしまう遼子にの前に、
相原 隆という少年が・・・。

俺、筆不精で手紙なんか書けないから
あんたの授業が終わるの待ってたんだよ」
「俺、友達なら結構いるけど、でも女の子とはつきあったことないんだ。
だからあんたの友達になってやってもいいよ。これがその返事。


この、相原クン、勿論ハンサム。
河キャラの男性は皆、カッコいい!あの「目」がいいよね!
なのに、「女の子とはつきあったことない」とは!?
なんてラッキーなんだ、遼子ちゃん!
そして二人は意気投合、「遼子」「隆」と呼び合う仲に・・・。

しかし、二人の前には数々の障害が!
教師からは「彼は昼間部では有名な
札つきのワル」だから
「彼と付き合うのは好ましくないんだよ」
「きみみたいな都会知らずの
いなかものなんていいカモなんだからね」なんて暴言吐くし、
職場の先輩(お局?)からは「仕事では新米でも
男の人に関しては大ベテランらしいけど」なんてやっかまれる。
隆は遼子を守る為に傷害事件を起こしてしまうし、
隆の母親からは「別れてください」と頼まれる・・・。

どうも「
不良と付き合う」ってこと、
そもそも
「男と付き合う」=「不良」というレッテルを貼られることへの反発みたいなものを
河先生は好んでお描きになっていたような気がします。
(当時の少女漫画には多かったかも?)

木枯らし泣いた朝』(昭和48年11月号掲載)では
「フォークソング」=「不良」という発想をする母親が、
わたり鳥は北へ』(昭和49年11月号掲載)には
「ハデな服装」で「男に声をかけられる」ことを危ぶむ父親が登場するし、
ゆがんだ太陽』(昭和49年6月号掲載)では
ヤクザの息子だからという理由で敬遠される少年が描かれています。

考えてみれば「
不良」という言葉も最早「死語」の世界!
河先生の「不良」達は、古きよき時代の少女漫画に相応しく、
「硬派」「ケンカ」「喫煙」といったモチーフ以上の事はありません。
「シンナー」とか「麻薬」なんてものとは無縁です。
ついでに「不純異性交友」もないです!(*^-^*)
いらかの波』以降の作品について私はあまり知らないのですが、
当時の少女漫画としては当然のことながら
少なくとも『いらかの波』以前は、
「濡れ場」描写は皆無です、河作品。(チェッ!)

ちなみに私が漫画でいわゆる「濡れ場」を目撃したのは
ベルサイユのばら』が最初だと思います。(/o\)

赤き血のしるし』も勿論、「濡れ場」はないのですが、
ある意味、
それ以上にエロチックなシーンがあります。
一人寂しく誕生日を祝う遼子(ああ、私みたい・・・)の部屋を訪ねる隆。
ケーキを半分に分けようとして指を切り、思わず泣いてしまう遼子。
(隆が来てくれたことに感激して、ですよ。)
隆はおもむろに自分の指を切り(絵を見ると「指」というより「手の甲」なんですが)
遼子の傷口と合わせる・・・。

ふたりの血がひとつに交わって・・・俺と遼子はひとつになる・・・

ああ、なまじっかな「濡れ場」を展開するよりも官能的ではありませんか!
少なくとも当時小学生だった私にはなんだかドキドキするシーンでした。
多分、「
どうして赤ちゃんができるのか」知らなかったお年頃。
血が交わる」・・・なんだか「禁断」の香りがしたのでした!

隆の母親から「別れてくれ」と言われ、絶望した遼子は手首を切ります。

「ひとつになった血は・・・もう別々にはできやしないわ」
「ひとつになった・・・血を流すのよ。これしか方法が・・・ない・・・」

隆に発見され病院に担ぎ込まれる遼子。
河先生は「輸血」という方法で、二人を「前よりひとつに」して物語を終わらせています。
なんてプラトニックで、それでいて淫靡な世界・・・。

「私もいつか誰かとこうして血をひとつにするのね」と、少女は夢見たのでした。


あれから27年。
今も夢見る少女がここに・・・嗚呼(-_-#)



河あきら先生の当時の作品は殆どが絶版になっています。
お読みになりたい方はネットを利用して探してみましょう!
私はシリアス路線がお気に入り。
故国の歌は聞こえない』が一押しですヨ。




次回も少女漫画ネタを予定。
「あああ〜、ベルサイユ〜に〜ばらが〜咲く〜♪」かなあ?

それでは! byパンダ32  


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