テレまん噺
 

「行くぜ市やん」「ほいきた佐武やん」
罪は憎いが 憎まぬ人を 斬るも縛るも人の為
闇を切り裂く男意気 朧月夜の 佐武と市

やっと連載復活!!

その9 「佐武と市捕物控」

  このコーナーはずっと御無沙汰でございました。今回は渋く「佐武と市捕物控」を取り上げます。私の好きな石ノ森原作ということもありますが、もっと深いところでも大好きな作品です。

 この原作は、当時小学館の「ビッグコミック」に連載中。花のお江戸を舞台にした下っ引きの佐武と居合抜きの名人、盲目の市をコンビとする、捕物帳といえば、わかり易いでしょうか。「佐武」のキャラは、別の石ノ森作品「ミュータント・サブ」の主人公サブから。彼がちょんまげを付け、また「市」のキャラは、「サイボーグ009」の004タイプです。映画の「座頭市」の影響も大きいようですね。最初は「少年サンデー」での読み切りとして、何作か掲載されていますが、子供向きとしては難しいという事で、後年「ビッグコミック」創刊と同時にそちらに移行しています。それ以後は完全に「青年向け」となるのでした。もっともアニメ作品自体は、当初は大人向けということで夜遅くに始まっていますが、その後夜7時台へと移動しています。ストーリーも原作から流用されているのは、「少年サンデー」版掲載の物が主です。やはり媒体がテレビという事で、「ビッグコミック」版原作よりは、アニメの方が多少抑えた感じに仕上がっています。何でも、第一話はかなりどぎつい事をやろうとして、クレームがついてしまったとか。まぁ当時としては、まだまだ早すぎた作品だったということかもしれません。

 この作品は、最初虫プロとスタジオ・ゼロの二社競作で始まりましたが、後半には東映動画も参加して、三社競作という珍しい形での制作になりました。同じ一つの作品を下請けではなく、大きな会社同志で作ってしまうという事です。統一を欠くという部分はありましたが、逆に互いに刺激しあい、いい物を作ろうという意気込みが芽生えたことも否定できません。作品はモノクロだったので、その背景は墨絵で、しかもキャラはあまり動かさず、さらに初期は実写との合成が多数。アニメで出来うる実験表現は、全てやってしまおうという感じだったのかも・・・。

 一応、主体になった制作会社は三社のうち虫プロです。主なスタッフは、りんたろう(林重行)氏、村野守美氏、真崎守氏、杉野昭夫氏。スタジオ・ゼロとしてはアニメーター鈴木伸一氏、東映動画では演出で田宮武氏といった方達も参加。そして、このアニメを「時代劇」という面から力強く支えたのは、京都の時代劇の大御所、松田定次監督。声は佐武役に初主演の富山敬(病気降板で、途中から井上眞樹夫)氏、市は大宮悌二氏、みどりは武藤礼子さん、ナレーターはあの小林昭二(ムラマツキャップに、おやっさん!)氏など。文字通り、そうそうたるメンバーといった方が良いかもしれません。後年、富山さんが「「佐武と市」が一番好きです。」と話されたり、東映動画の田宮さんが「山下さんの「佐武と市」の曲が大好きで、映画の担当(監督)になった時に彼を起用した(「魔犬ライナー0011 変身せよ!」)」と答えたりもされています。そう、音楽は私がこちらの連載で、初期に取り上げている「山下毅雄」さん。「石森章太郎のマンガで時代劇」というイメージだけで、あれらの曲ができてしまったとか。特に口笛とスキャットの二種類のオープニングは、「名曲」です。
 「佐武と市」のアニメはスタッフ皆が惚れ込んで、意気込んで作ったという恵まれた作品なのでした。

 後年、この作品は何度か実写ドラマ化されています。もっとも出来はアニメが一番良かったらしい…。(以前、山下毅雄さんが関わった舞台にもなっていたとか!)生前石ノ森先生も、もう一度アニメ化したいとお話されてました。でも時代劇アニメって難しいですよね。これとは別に、最近映画にもなった「化粧師」が、一度「ギミアぶれいく」という番組内でアニメ化された事があります。が、出来としてはさほど大した事がなく「佐武と市」の方が遥かにすごかったという印象でした。(石ノ森先生も「化粧師」アニメはお気に入りじゃなかったらしいけど。「佐武と市」は「なかなかやるな」という感想をお持ちだったようです。)今や「時代劇ブーム」とも言われてますが、過去には、こんな隠れた名作時代劇アニメもあったのです。

 この「佐武と市」今ではDVDやCS放送などで見る機会もありますので、御存知ない方は是非一度ご覧下さい。・・・まだまだ言い足りない事もありますが、今回は復帰第一作ということでこの辺で(~o~)。


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HAYAKOのプロフィ〜ル

生まれ落ちて以来(?)のTV&マンガっ子らしい。何故か古い作品程よく覚えている。そのため、話が合うのは主に年上の人(^_^;)。しかも、当時の周辺事情にも詳しいため、皆、話について来られないとのウワサあり(-_-;)。大の石ノ森ファンとか(^。^)。

最初のハンドルネームが性別不明だったので、オトコだと思われてた  フシもありますが、れっきとした女性ですよ〜ん(^。^)。


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