テレまん噺
 

 ついに今回は、「ジャングル大帝」の三回目です。

その6 サバンナに白いたてがみが、なびいた…
    歓びに風は舞い 獅子よ 白い獅子よ
    十字星より高く 輝け〜〜 (ソノシートより)
【「ジャングル大帝」#3〔内容その他もろもろ〕】

 「ジャングル大帝」は、日本のテレビのシリーズ物(セル)アニメと しては、初のカラー連続作品でした。が、当時カラーで見られたという人は、殆どいません。制作側としては、当然、カラーという事での苦労もありましたが、逆にそのカラーアニメが、白黒テレビ 受像機に映った時にどう見えるのか、という事での苦労もあったようです。

 さて、その「ジャングル大帝」は、手塚先生が「漫画少年」という雑誌に長期連載された作品です。連載当時としては破格の扱いで、 大河ドラマとしての評価も高く、手塚先生もお気に入りの作品でした。
 が、この作品をテレビ化するに辺り、数多くの難問がありました。
 カラー化にあたって、「ジャングル」の資料が少ない(具体的には密林のカラー写 真の資料がない)、アメリカへの輸出が大前提にあるため、原則 として1話ないし2話完結、黒人を出したり差別 的な内容にしてはいけない、そして予算をオーバーしてはいけないなどなど…。スタッフは、もちろん「ジャングル大帝」の魅力が、その長編性にある事もわかってましたから、これは割り切って考えるしかありませんでした。原作の良さを損なうことを承知で。
 その注文は、シナリオライターにも突きつけられました。メインライター は、辻 真先氏。当初は、一人で担当するという線も考えられていたためか、基本設定や、大半のシナリオはこの方の担当です。アニメオリジナルキャラのジャングルの長老、マンドリルのマンディ爺さんや、ライバルのライオン、ブブの配下のハイエナギャング、デクノボウことディックとボウのアイディアも辻さん。(ディ○ニーアニメ「ライ○ンキング」にも、それに似たキャラが出てきてましたね(-_-;)。)ところで、レオの同年代の仲間のポン・ゾロ・ターチは、テンパイトリオって言うんだそうです。(つまり、マージャンですよね??)

 そして、第1話「行け!パンジャの子」。30分では到底収まり切らない、父パンジャの死とその子レオの誕生を一回目に全てやるという方針の ため、辻氏は数回に渡ってシナリオを書き直します。苦肉の策として 考え出したのが、CMを利用して話を飛ばし、後でキャラに説明させる という方法。パンジャの死の細かい話は、レオの母エライザがレオに語って聞かせるという形に落ち着いたのですが、これは黒澤映画の「生きる」をヒントにされたとか。そのせいで試写 の際、子供に理解できるのかと、問題にもなったそうですが…。

 その後は、とにかく予算内でやるという方針を徹底して貫き、原作とどんどんかけはなれて行くために、手塚先生は苦い顔をされてらしたとの事。しかし、スタッフ同士のチームワークは、抜群でした。スタッフ 間で新聞を作ったり、合宿をしたりもあったとか。
  さて、その他の主な スタッフとしては、キャラデザイン・作画監督が「鳥の勝井」と異名を とった勝井千賀雄さん、演出にはりんたろう(林重行)さん、北野英明 さん、永島慎二さんなんて顔ぶれも。辻さんの推薦でシナリオに 参加した中には、雪室俊一さんの名前も。また、この作品で、荒木伸吾、杉野昭夫のお二人も作画を担当。音楽は、もちろん「世界のトミタ」こと冨田勲さん。

 手塚先生の不満とは裏腹に、この作品は色々な賞を取ったり(作品や音楽で)したのですが、視聴率的には「アトム」程の高視聴率は取れず(といっても20%は充分あった)、テコ入れとして 成人したレオの話へと移行します。それが「ジャングル大帝・進め! レオ」。とは言う物の、レオが大きくなってしまってからは、 逆に話のボルテージが落ち気味となり、26本で終了しました。
  その最終回で、またもや問題となったのがレオをどうするかです。原作では、ヒゲおやじを救うために死を選んだレオでしたけれど、テレビの方では死ぬ ことはありませんでした。もちろん、原作では一足先にレオの妻ライヤも伝染病で死ぬ のですが、これもテレビでは救われます。
  が、 最終回は原作通りに出来ないスタッフの悔しさが、仄かに見えるとでもいうのか…それを逆手にとって大活躍したのが、レオの息子ルネです。 ムーン山探検に内緒で同行したルネは、当初高山病になったりするのですが、クライマックスでは、死にかけたレオとヒゲおやじを救い出 します。彼は、生まれたときは異様に臆病な子ライオンだったのに、最終回では大成長ぶりを発揮してました。これはこれで、もう一つの「ジャングル大帝」の物語としても十分感動できました。

 全部でレオの子供時代が52本、大人時代が26本、劇場用総集編が1本。
 今、通して見ると、ムリな設定とか「おいおい」というシーンもありますけど、当時のスタッフ達の意気込みは充分感じられると思います。 新たな気持ちで、「ジャングル大帝」を観てみるのもいいかもしれませんよ。

 というところで、「ジャングル大帝」三部作は これにてお終いです。
 さぁて、次回は何が出てくるでしょうか??


カット:ニャンちゅう

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