はなぞの大学

学長:高卒★エスパー


時の流れというモノは…速いですネェ…。
アァ…もう2月か、2月というと3ヶ月か…
そうか…「怪獣はなぞの大学」が廃校になってからもうそんな月日が…                                  ('-')
というのはウソです。イぇ、もちろん3ヶ月休校していたのは本当ですが…みんなオイラが悪いのサ♪

というワケで本日只今より講義を再開させていただきますったらイタダキますッ!!
生徒諸君、待たせてすまぬ!!お詫びといっては何だがこのシワ腹かっさばき! …イタイ、イタイ(; ;)寝る前に平田弘士なんて読むもんじゃナイ。
お医者に行って…では、
怪獣はなぞの大学★トゥェンティ・ゥワン!
始まり始まりーィ!!

`s(-'-;) エートォ...とは言うモノの一体何を講義したら良いモノか…本来は『干支とゴジラ』というテーマを用意していたのだが…流石に”干支”はナァ…2月だものネェ。
ウムっ!!そうじゃ、今回は『仮面ライダー』をやろう!
クウガが終わって新シリーズ『仮面ライダー・アギト』が始まったしね。
アギト、”豹マン”が出て来るみたいだな。先生はそいつを「あゆ・でざいん」と呼ぶことにした。是非とも永島慎司に漫画化していただきたいモノだが…、ヤッパ無理か!?


■2ストローク造反有理〜『仮面ライダー』の時代■

 生徒の皆さんは1971年(AQ5)の『仮面ライダー』本放送第1回をご覧になっただろうか?
 そう、第1話『怪奇蜘蛛男』の巻である。先生は当時、小学校の低学年2年か3年だったはずだ。どうだろう、諸君は本郷猛改造の巻をリアル・タイムで目撃していたカナ?
 正直に言って先生は見ていない、そんな新番組が始まった事すら知らなかった。先生が初めて仮面 ライダーに触れたのは第4話『人喰いサラセニアン』からだ。食虫植物のサイボーグであるサラセニアンが熱帯植物園で「エケ♪エケ♪」言っていたのを憶えている気がする。

 実際の話、『仮面ライダー』を放送第1回から観ていた子供は少なかった筈だ。何しろ最初はスタッフが「ガックリするような」低視聴率でスタートした訳だし、メインの広告媒体とも言える”原作マンガ”が掲載されたのは「少年マガジン」の弟雑誌と銘打ったマイナー・コミック誌『ぼくらマガジン』だったのだから。
 この『ぼくらマガジン』という雑誌、今となっては先進的な企画内容を高く評価される好雑誌といえるだろうが当時は辻なおきの『タイガーマスク』が掲載されている以外はまず取り柄のない雑誌だった。正直、置いてある書店やスタンドも少なかったと思う。

 そんな状況で、しかも4月3日という春休みの真っ最中に放送を開始したのだから子供達の口コミも期待できない。仮面 ライダーはそういう意味でも”孤独なヒーロー”としてスタートしたわけだ。

 その仮面ライダー・シリーズが放送開始から30年を経た今でも皆から愛され、新作シリーズが作られるビッグ・ヒーローに成長したのは一体何故だろうか?
 ユニークで恐ろしい怪人達の魅力?爽快で力強いライダー・アクションの魅力?改造手術を受けたサイボーグの苦悩?…そのどれもが正解だろう。だがしかしそれらは「仮面 ライダー」の魅力を構成する部品の一つ一つに過ぎない。では、その部品を一つずつ仮面 ライダーという”フレーム”に納めていこう!
 ”仮面ライダー”をいったん分解して組み直してみるのだ…そうすれば、きっと仮面 ライダーの魅力全体が理解できるはずだ。
 それでは皆さん、作業服に着替えたら軍手をはめて工作室へ移動しましょう。工作室へ向かう途中では「…ムッフッフッフッフ」と含み笑いを忘れずにネ…(^.^)

○っつーワケで、ここは「怪は大・工学部作業室」○

 ウゥ…寒いですね、外は雪が降っていますからね。長くかかって風邪をひくといけませんから早速始めましょう。 ブルブル(--;)

 皆さんの目の前にあるのが仮面ライダーのメイン・フレームです。意外なことにプレス成型で出来ています、何故かというと予算が無かったのですね。ま、その辺りの話はいずれ講義するとして今日は『仮面 ライダー』の構造に的を絞って説明します。

 「仮面ライダー・本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面 ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!」
 中江真司Nの名調子でお馴染みの『仮面ライダー』オープニング・ナレーションです。
 「仮面ライダー」を製作した東映は以前『仮面の忍者・赤影(1967/AQ1)』でもオープニング・ナレーションを使って作品世界の説明をしていましたが、ライダーのナレーションの方がより簡潔明瞭で極めて端的に作品内容を表現できているね。
 これは”特撮映像のバロック”とも言える赤影世界に比べて、ライダー世界がそれだけシンプルな世界なのだということを表しているワケだ。
 実際、「仮面ライダー」の構造は典型的な”カウンター・アタック・ストーリー”だといえます。
 「ショッカーが悪いことをする、そこでライダーがそれを阻む」、仮面ライダーのメイン・フレームはこの様にとてもシンプルな形をしているだろう?先ずはここがポイントなのだ。優れた作品フォーマットは常にシンプル、「真理は単純で美しいモノ」なのである。だから、この様にシンプルなフレーム形状こそが優れた作品には必要なのだ。
 しばしば、昨今の作品が大袈裟なテーマを表現しようとして、様々な部品を載せられる様に複雑な形のフレームを用意するが、多くはフレームの接合部分が甘くなり少しの荷重にも耐えられない不良品となってしまっている。つまり「スタッフの伝えたいことは理解できるけど、心に響くモノがない」作品になってしまうわけだ。平たく言えば駄 作!である…
 最近の例で言うと、アニメのキカイダー!とお正月のゴジラ!でしょうカぁ?人の好みは様々であるが、先生は「映画やヴィデオにもクーリング・オフ制度を導入しては如何だろうか?」と思う。どうだね石原都知事よ、私は都民ではないがな!

 ただし、この様なシンプルなフレームには、そのシンプルさ故に作品の魅力配分が載せる”部品”に大きくかかってくるという難点もある。その”魅力的な部品”の一つが、『ウルトラマン』でいうところの”怪獣”だ。もちろん仮面 ライダー・シリーズなら「怪人軍団」である。
 『仮面ライダー』の重要な要素に「怪人」の要素があることは考えるまでもなく明白である。怪人に魅力があればこそ当時の子供達は「次回の怪人情報」の入手に、そしてライダー・カードの収集に血道をあげていたのだから…(^_^;)

 「怪人クモ男が、戦闘員を引き連れて襲撃して来ます。サソリ怪人が、平和に暮らしている市民を、その恐ろしい毒で刺し殺そうとします。(後略)」
 これは”原作者”としてライダー創造に携わった石ノ森章太郎がライダーのムック本に寄せた文章の1部である。その後、幾つかの出版物等に引用されたからそちらで読まれたみんなもいることだろう。
 この、作家・石ノ森の発言が端的に表しているように仮面ライダーの怪人とは「集団で、一般 市民を陥れる怪物」と規定されている。これどこから来たイメージなのだろうか?
 また、一方の”創造者”東映サイドの製作プロデューサーとして同じくライダー創造に携わった平山・元PDの発言によれば怪人軍団のイメージは「KKK的なイメージの”隠された世界の住人”」が源泉である、という…。

 「隠された世界」からやって来た「一般市民を陥れる」存在とは何か?実は製作会社である東映は既にこういう存在を幾度も幾度も映像化している、それは東映の独壇場であった伝奇時代劇に於ける”悪い忍者”である。この忍者にこれも東映が『悪魔くん(1966/Q歴元年)』『河童の三平・妖怪大作戦(1968/AQ2)』と2度に渡って扱った”妖怪”の要素を加えればどうなるだろうか…?それは”ショッカー怪人軍団”になるのである。
 言い換えれば「妖怪忍軍」こそが怪人の本質なのだ。その表れの一つに「ショッカー怪人は常に具体的なモチーフを持つ」という点がある、怪人は明確なモチーフを持っている存在なのだ。
 「妖怪」とは理解不可能な事象に民衆が与えた具体的なアイコン、であるから常にその姿の”拠り所”を持っている。”カマイタチ現象”を説明するのに鎌とイタチを用意する様にである。最たるモノは百鬼夜行図に描かれる憑物神”の姿だろう。何か判らないモノではなく「何の化け物か解るコト」が重要なのだ、であればこそショッカーは彼らの改造人間に具体的なモチーフを用意しなければならない。それがムササビ怪人・ムササビートルであり果 てはミイラ怪人・エジプタスなのである。ショッカー・ブランドで改造するからには怪人キャラクターであるミイラを更に怪人にしなければならないのだ。
 ”怪人”とは「妖怪の超能力を会得した赤影の忍者達」。児童文化を席巻した空前の怪獣ブームの中で「怪獣」というキャラクターにおいては常に他社の後塵を拝してきた東映が遂に見出した「怪獣」に対抗しうる独自の”解”。それが「怪人」なのである。

★:であるから『変身忍者・嵐(1972/AQ6)』に於ける”化身忍者”は「種明かしした怪人」に過ぎないことになる、つまり「怪人」から忍者方向へ一歩後退したコンセプトなのだ。また、『仮面 ライダー・アマゾン(1974/AQ8)』の”ゲドン獣人”は「よりモデル生物に近い形態」にデザインされた事によって妖怪方向へ後退したことになる。いずれも「怪人」として失敗した事実を以上の証明として付記しておく。

 では、『仮面ライダー』のカウンター・アタック・ストーリーの構造。この構造を持ち、エンタティメントで興行的に最も成功したジャンルは何だろうか?
 それは『007は殺しの番号"Dr.No"(1963/BQ3)』に端を発した”スパイ・フィルムズ”である。冷戦下の緊張した世界情勢を背景に…攻められて反撃、攻められて反撃、攻防!攻防!また攻防!スパイ・アクションの面 白さはコレに尽きるといえるだろう。
 そして、これもまた東映が川津祐介・主演のTVシリーズ『スパイキャッチャーJ3(1965/BQ1)』以来、執念深く挑戦し続けたジャンルであった。『仮面 ライダー』は、驚異のロング・ヒットとなった『キィハンター(1970/AQ4)』と共に実った東映の執念の回答でもあるのである。

★:ちなみにスパイキャッチャーには『スパイキャッチャーJ3/SOS危機一髪(1966/Q歴元年8月公開)』と題された劇場版カラー・シネスコ作品がある、アカネ隊員も出ているそうなので是非観てみたいものだ('')(,,)。今世紀中のDVD発売を期待したい。

 少し寄り道したので話をライダーに戻そう。スパイ・フィルムの影響といえば更に判り易い形で表れているのはショッカーの映像表現である。姿を見せない首領から怪人幹部へ指令が下され、実行部隊の怪人が部下を指揮して事に当たる、これは『仮面 ライダー』以前の特撮作品には見られなかったスタイルだ。近いモノでは『ジャイアントロボ (1967/AQ1)』のBF団が思い起こされるがショッカーと比べるとギャング団の趣である。要するに組織を覆う規律が画面 からは伝わってこないのだ。
 加えてショッカーの場合は世界各国の支部から構成員が来日、後にはライダー自身が海外へ活躍の場を広げていくというアイディアが加わっていく。まさにショッカーはスペクターやスラッシュと同列の”世界制覇を企むグローバルな秘密機関”として設定されたわけだ。
 当時、先生のお友達は『仮面ライダー』を指して「なんか、スパイ映画みたいな番組だよね」表現したが、全くその通 りであったのである…ありがとう、ハタナカくん(^o^)/
 ちなみに、これらスパイ・フィルムからの影響については石ノ森章太郎によるマンガ版 『仮面ライダー』に於いていっそう濃厚に描写されている。
 完全にメカニックなビジュアルのみで表現された首領などは「ボス」ないしは「ゴッド・ショッカー」などと呼ばれているのである。こういった辺りのムードはTV版のホラー指向とは一線を引いたモノであり、石ノ森自身の可愛らしく湿度の低い描画と相まって「石ノ森にとっての『仮面 ライダー』とは”冒険活劇(少年戦隊モノ)”の色合いが強い009・シリーズをよりシビアにした、”サイボーグ・エスピオナージ”だったのでは…?」と思わせるに充分な説得力を持っている。
 となれば楳図かずお版ウルトラ・ホラーな『仮面ライダー』なんて言うのも読んでみたかったモノではある、('.')アっ…そりゃ『笑い仮面 』か?ワハハハハハハハ!ムチで  バシーッ!!

 で、その石ノ森章太郎といえば自宅か仕事場だかにライダー像を建立したことが有名だが、確かにその位 のことはしても良いだろう。とにかくライダー・マスクのデザインは革命的に素晴らしいのである。
 みんなも知っているようにライダーの仮面はバッタの顔がモチーフとなっているのだが、これに「怒りと哀しみの相」を被せているのだからまさに天才の技と言って差し支えないだろう。
 TV版の仮面は当時エキス・プロ(造型会社)に在籍していた三上陸男が作り上げたモノだがこちらに至っては完全に「憤怒の形相」である。大きく跳ね上がった超触覚アンテナは吊り上げた眉、C・アイと名づけられた複眼は大きく見開かれた眼、その下には何やら血涙の痕らしき蔭があり(覗き穴に加工した判断は素晴らしい!)…そしてゾロリと牙の並んだ口元・クラッシャーはムンとばかりに堅く結ばれている。EDテーマ曲「ライダー・アクション(作詞は平山PD)」に謳われているように正に「怒りのマスク」である。しかもウルトラマンの「阿」に対する「吽」の相となっているわけで、世界的に見ても未だ類を見ないオリジナルなデザインとなっている。
 当然、石ノ森自身も相当に苦しんだあげくの傑作だったようである。企画最初期の覆面 系仮面「クロスファイヤー」では藤子不二雄Aの『シルバー・クロス』とカブるし、骸骨面 『スカルマン』では大味なシンプルさがイージーな印象だ、大体009のスカールと変わらないではないか?公にはされていないが石ノ森自身は相当に苦しんだあげくにそれらの難関を突破し遂に一線を越えたのだと先生は思うのである。('-')(,_,)('-')  (,_,)ウンウン…。

★:「そのマスクの中で顔であることを表すもの2つの目だけだった…」。”アメリカン・コミックスに於けるモード革命”である『スパイダーマン〜the Amazing Spider Man』の日本版が池上遼一&小野耕世のコンビで「別冊少年マガジン」誌上に発表されたのが1970年(AQ4)2月。『仮面 ライダー』登場のほぼ1年前であったことも付記しておこう。

 一般に「ライダーの顔は当初は恐く、非常に不気味な印象を与えた」事になっているのだが、以上に述べたような理由から先生は初めて見た時点(タイトル・バック)で「このヒトは怒っているのだ」という印象以外にマイナスの印象は憶えなかった。意外にみんなの中でもそういう人は多いのではないだろうか?
 先日お会いしたおりに伺ったところ平山PDは放送以前の本編撮影中に「撮影を見ていた子供と握手でもさせようかと思って、ライダーと子供を会わせたら子供が半狂乱で泣き出して困った。やっぱり恐いのかな?と思ってガッカリしちゃったヨ」と仰有られていたが、ライダーじゃなくても見ず知らずの「着ぐるみサイボーグ」が寄ってきたら子供は泣くだろうと先生は思うのである。
 「見たこともない物を恐れることは生き物の本能の表れ」。「こんなモノは見たことがない!」言ってみればその事件は石ノ森章太郎のクリエイティビティに対する勲章であるのだ。


イラスト:高卒☆エスパー

 (‐_‐)……というわけで「怪人」と「ライダー」、そして「ショッカー」が当時の特撮ヒーロー番組シーンに於いて如何に革新的な存在であったかは充分にご理解いただけたかと思う。
 では、「怪人」と「仮面ライダー」を「ショッカー」で繋いで…っと。これをライダー・フレームに納めよう。

 ガチャ・ガチャ…っと、メガネかして。アっ、ラチェットの方がイイや…キュッ・キュッ!!ギュ〜!出来た。
 と、いうところで振り返れば既に”14KB”外も暗くなってきたので今日の講義はここまでとしたい…(--)。

ハイ、ハイ!!騒がなァ〜いッ!

確かに、まだ『仮面ライダー』の組立は終わってオ・リ・マ・セ・ン!
なので、この続きは次回に講義します。
今日が1ストロークめで次が2ストロークめです!

次回◇2ストローク造反有理〜『仮面 ライダー』の時代・その2

次の講義はいきなりココでやるので、講義室ではなくこの「工作室」に集合するように!!風邪ひくなよっ、以上!

「”パリラ!パリラ!パリラ〜!”爆音を叫びつつ教授は去っていったのだった…」 by中江真司N

 

Next
 

テレビまんが大全集