はなぞの大学

学長:高卒★エスパー


日本史『シルバー天皇〜特撮南北朝時代をよむ』

 生徒の皆さんコンニチワ、今回は日本史のお勉強をしましょう。 「アレ?今日は地学か外国語の予定のハズだけど…」と思った方、ごめんなさい。先 生は用意した講義のデータをフっとばしてしまいました。理由は解りません、先生は PCを良く理解しないままに弄くり倒しているからです。
  それではちょっとブルーに始まり・始まりィ〜(:_;)


 西暦1970年、長きに渡って日本特撮界をリードしてきた現人神「円谷天皇」こと円 谷英二(Tsuburaya Eiji/1901→1970)が"狭心症心臓喘息"の為に亡くなられまし た。
  1966年の『ウルトラQ』放映を元年とした「怪獣文化大革命」記念歴、すなわちQ歴にしてAQ4年。この「天皇崩御」の年は怪獣文化を愛する者達にとって忘れられない年と成ったわけです。

 しかし時の流れは非情なモノ、その後の特撮界は7年余の長きに渡って戦乱の時代へと突入していきます。世に言う「特撮南北朝時代」の始まりです。

 《sound:武士の雄叫び→「ウォォ〜ッ!!」馬の蹄の音→「パカラン・パカラン…」》

 時にQ歴4年、特撮界の頂点に君臨する大王朝・円谷プロダクションから一人の男が飛び出しました。名を「小林哲也(Kobayasi Tetsuya)」、円谷王朝では照明の重職にあった男です、この小林氏なかなかの野心家だったらしく円谷王朝をから仲間を連れて、新しく自分の国を作りました。すなわち『日本現代企画』、"ニチゲン朝"の旗揚げです。

 《sound:法螺貝の音→「プゥオオ〜・プォォ・プゥオオオ〜オ!」》

 さて、一方の円谷王朝はどうしたか?別にどうもしません。どうかしたかも知れませんがよく解りません、その辺りの資料はその後の戦火の中で失われてしまったので す。
  しかし、先生が思うに結構焦ったのではないでしょうか?何故ならば殆ど同時期に『故郷は地球(棲星怪獣ジャミラ登場)』や『狙われた街(幻覚宇宙人メトロン星人 登場)』などの戦で知られる奇策師・実相寺昭雄(Jissouji Akio/演出家)達も独自の騎馬軍団『コダイ・グループ』を旗揚げしたからです。 もっとも「コダイは製作会社ではなく(実相寺氏は既に『実相寺プロ』という独立製 作会社を持っていた)"企画集団"だったので焦ることはなかった」と思う方々もいらっしゃるのでしょうがそうは問屋がおろしません! ほど無くして実相寺氏はニチゲン朝の大将軍・小林氏と盟約を結ぶのです。「コダイ から現代」、歴史とオヤジを感じさせる一大勢力の出現です!

 《sound:『スペース・バンパイア』のテーマ、♪ジャンジャカジャカ・ジャン ジャカジャカ・ジャンジャカジャカ・ジャジャジャ・ジャン!!》

 当時、いわゆる"三種の神器"つまり「日曜」「ヨル7時」「TBS」は梶原大将軍を初代将軍にするスポ根王朝・末帝『ガッツ・ジュン』が所有しておりました。 ところがこのジュン帝が今ひとつ人望に欠けた帝であったと云うことは当時のニールセン調査にも明らかです。
  その原因をジュン帝の重臣・関白平山P大臣にお訊きしますと…
  「やっぱりね…幾ら特撮使っても下手なピッチャーは下手にしか見えないんだなァ。 そこが『柔道一直線』と違ったトコロ、誤算だったね」 と笑いながら語っておられました。
  当時、正当なる天皇の証・三種の神器が置かれた玉座は大きく揺らいでいたのです、 グラ・グラ。

 ここで円谷王朝に目を移してみましょう、当時の円谷王朝は先代の英二大将軍の後 を第一子・円谷 一(Tsuburaya Hajime/1931→1973)が務めていました。当時の同王 朝は"『ウルトラ・ファイト』の意外な好成績"や"ソフト・ヴィニル人形の変わらぬ 人気"から「今こそ、我が王朝復興の好機!」とばかりに岩戸に隠られたウルトラ帝 を担ぎ出し、『帰ってきたウルトラマン』の戦に突入、意気上がるまま更なる戦場を 求め、ひた走っているところでした。
  そして同時期に新しい時代の新皇帝として奉られたのが『ミラーマン』ことミラー天皇(まんまか?)です。
  このミラー天皇、産声をあげたのは実は英二大将軍在位中のことであります。先代 将軍の懐刀・琉球王国出身は金城哲夫之守に見守られ産声を上げたミラー皇太子は途 中で御尊顔が大きく変わったりしつつもスクスクとお育ちあそばれました、ちなみに弟君には後の『ファイヤーマン』ことファイヤー皇子もいらっしゃりあそばれちゃたりなんかしたりします(←ここ、広川太一郎の声で)、こちらの皇子は横山やっさん似の面立ちであったことを皆さんは御憶えですか?
  話を戻してこのミラー皇太子、幾多の艱難辛苦を乗り越えて遂に皇位につくこととなるのですが、受け取った三種の神器の様子がチトおかしい。今は天皇のミラー皇太子 がお側の者に訊ねます…
●ミラー天皇:「オリャ!…('O';…一個オリャ!違くねぇ?オリャ!」(←"オリャ !"はミラー天皇の口癖)
◆お側の者:「( '_';)いえいえ我が君、今年からコチラが正しい神器でございます」。 …実はこの神器、2つは正しい物でしたが一つだけは英二大将軍ご存命の頃の記録と 違っておりました。本来であれば「日曜」「ヨル7時」「TBS」であるはずが「日曜」「ヨル7時」『フジテレビ』に成っていたのです。
◆お側の者:「おそれながら、帝には初代CX皇帝として新しき民草を導いて頂きとうございます(^_^;)」
●ミラー皇帝:「(‐_‐)……さようか、よきに計らうがヨイゾ・オリャ!」

 この様な会話が東寺の屋根裏に落書きされております…ウソですが。 ところで、では本来あるべき神器・『TBS』はどこへ行ったのでしょう?皆さんお判 りですね、そうそれはニチゲン朝は小林将軍の手に落ちていたのです!!

 《sound:『仁義なき戦い』のテーマ♪パァァ〜ッ・パァアァ…タラ・タラ・タラ ・タラ・タラ・タラ、チャーッチャ…》

 さて「日曜」「ヨル7時」「TBS」、3種の神器を手に入れたニチゲン朝。神器があってもそれを奉じる天皇がいなくては政は成り立ちません、要するに番組を立ち上 げなければ意味が無いのです(本来は逆です、番組の企画が無ければ3種の神器は手に入りません。打ち込んでいる内にナンカ逆になっちゃいました…I'm sorry, 髭 sorry)。
  そこでスックと立ち上がったのが誰あろう・誰だろう・彼奴だろう、そう『シルバー 仮面』ことシルバー皇子その人なのでした!

 《sound:パパン・パンと演台を扇子で叩く音に続いて、客席の声「イヨっ!!低視聴率!」》

 演台じゃねぇ!!教卓だろ!…などと申しまして、エッヘン、続きは次の機会。ってンなこたぁありゃしませんでドウモ…。
  さて、講義に戻ってこの『シルバー仮面』どこが面白いかと言うと、ってなんか三平師匠みたいだね。まぁ兎に角、裏番組枠のCX帝国に陣取る『ミラーマン』とことごとく違う。
  何しろ掲げた旗にはこう書いてある→「脱・特撮」、観てたこっちは力が抜ける(観ていたのだ、こっちを(; ;))。

 どの位の脱・特撮かというと、いわゆる等身大編・10話迄でスペシウム光線の様な アニメーション合成を使った「光線技」は二度しかでない。しかもそれを使うのは敵の宇宙人(氷宇宙人シャイン星人←"溶けかけたヴァニラ・コーン・アイス"と洞窟宇 宙人ソロモン星人←"雲母のような独眼バッファローマン")!!
  今回、ヴィデオ見直して(◎-◎)しました。ちなみにミニチュア特撮はもう少しあります。こちらは流石に円谷王朝の流れ組むだけあって素晴らしい、全体的に"美しいカット"が多く印象的。後にシルバー天皇が元服されて"ジャイアント天皇"となってからは場当たり的ながら迫力も加わります。

ちなみに「美しい特撮」という点では裏のミラー天皇も素晴らしかった。何しろ こちらは"合成処理を要するシーケンスには35mmフィルムを使用する(通 常、TV 映画は16mmフィルムを使用します。35mmフィルムは劇場映画の基本フォーマット。その35mm幅のフィルムを使用すると云うことは、単純に考えて解像度が4倍の ハイ・クォリティ映像と成ることを意味します)"という処置を行っていたのです、 ミラー天皇に賭けた円谷王朝の意地を見るような大英断ではあります。

シルバー仮面 シルバー皇子の『シルバー仮面 』の基本フォーマットは「地球人の宇宙進出と、それを良しとしない異星人群との戦い」です。なぜ宇宙人達が地球人類の宇宙進出を快 く思ってないかというと「地球人は嘘つきで争ってばかりいる」からです。
  第2話『地球人は宇宙の敵 "仮題:「宇宙を盗むもの」"(7色宇宙人キルギス星人 登場←風船のような目玉を触覚の先に付けている)』では宇宙人が主人公の春日兄姉 に向かって「月の石は誰に断って持ってきたんだ?答えられないナ…やっぱり泥棒 じゃないか…」なんて言ったりもします。
  そして、キャラクター的に地球人側を代表するのが、光子ロケットの秘密方程式を身 体に隠された「春日5兄姉」。
  次男の光二(柴 俊夫)は「シルバーの力」すなわちシルバー仮面への変身能力を 持っています。他の4人、光一(亀石征一郎)・光三(篠田三郎)・ひとみ(夏 純 子)・はるか(松尾ジーナ)達には携帯ビーム兵器(合成無しのナンチャッテ・ビー ム)「赤光銃」「白光銃」、宇宙人の正体を見抜く「スペクトル眼鏡」、勝一郎パパ (ゴッホ似)の御手製と思しき「宇宙人図鑑」それに光子エンジン抜きの「光子ロ ケット・ベム1号」が与えられています。
  春日兄姉の行く手を阻む宇宙人は毎回色々です、基本的に「光子ロケットの秘密を暴く」のを目的としています。
  それに「なぜか宇宙人達より早く兄姉の隠れ場所を嗅ぎ当てる」大原道夫(玉 川伊佐 男)なんかもいますね。この人は春日勝一郎博士の実弟で兵器産業を営んでいます、 いわゆる「死の商人」です、日章旗をバックに土下座する場面なんかが有ります。

 では、具体的にその"特撮"を検証してみましょう。サンプルは「シルバー仮 面」第1話『ふるさとは地球(斑宇宙人チグリス星人登場←桑田次郎の描くゴロツキ 風ハイエナ)』です。
  通常、第1話はいわばシリーズの"掴み"に当たりますので特撮カットは多くなるのが通例です。例えば未来的な兵器群をパノラミックに見せるとか、怪獣が複数現れるとかですね。
  ところが、シルバー皇子の場合は…

 ■ 『シルバー仮面』・その特撮 ■

  1. オープニング・タイトル(アステロイド帯の宇宙特撮から始まってシルバー 仮面の生首が飛んでくるまで)チョッピリ。
  2. 春日邸炎上(ミニチュア特撮)『怪奇大作戦』風に結構見せる。サブ・タイトル、クレジット、主題歌『故郷は地球』が被ってシビれる(^.^)!
  3. 光子ロケット・ベム1号(←ステンレス製のコンコルド機って感じ)の威容 (ミニチュア特撮)広角映像を使いモノ・トーンの『ウルトラセブン』タッチ。
  4. シルバー仮面変身!(光学合成)実相寺昭雄・演出による異妖なサイボーグ ・イメージ、なんか"試薬の化学変化"っぽく「ジワジワ〜・モワモワ〜」。
  5. コマーシャルの為のブリッジ映像(光学合成、シルバー仮面の後頭部から後光が差す。これも実相寺?)
  6. 春日光三に乗り移ったチグリス星人が正体を現す(単純な光学合成、バルタン星人の華麗さを期待すると…?('_,)?(,_')? )

 …これでお終い、たったの6シーケンス!もし当時、廉価なホーム・ヴィデオが在ったら先生は迷わずミラー天皇をリアル・タイム鑑賞していたでしょう。何しろ裏ではミラーマンと鋼鉄竜アイアンの合成乱れ飛ぶ超美麗特撮アクションが観られたのですから。しかも6っつの内の1・3・4・5のカットはアニメで言う"バンク・ショッ ト"、実写では"ライブ映像(libraryの略)"とか呼ばれる使い回し用の特撮です。予算がかかるのが運命のSF特撮ヒーローなのに一体お前はいくらで作っていたんだシ ルバー仮面(T.T)!

 この様にシルバー皇子の『シルバー仮面』に特撮を期待するとガッカリとかビックリとかします。第3話『父は炎の中に(前述のシャイン星人登場)』辺りから幾分 「特撮度数」も上がり始めますが、ウルトラ・シリーズに合わせた諸君のスカウターでは全く反応しないでしょう。
  では、先生を含めた当時の「シルバー檀家」は何を楽しみに『シルバー仮面 』を見 続けたのでしょうか?別に「↑そこが良かった」訳ではありませんよ。
  一つは「怪獣キャラクター」です。シルバー皇子の場合、作品内容的に敵は9割方「宇宙人」です。敵が宇宙人組織の場合を除き(ex,『円盤戦争・バンキッド』)"フリー・ランスの宇宙人群vs.地球人"と云う基本フォーマットを採用したTVシリーズ は実は『ウルトラセブン』位しかありません、極めて珍しい設定なのです。
  また「珍しい」だけではありません。当のセブンがシリーズ中盤から低視聴率ゆえの「怪獣強化路線」を採ったことを考えると、これはむしろ「再挑戦」と言った方が良いかもしれませんね。
  ま、兎に角その宇宙人達なのですが、この「シルバー仮面・星人群」なかなか個性的で面 白いキャラクターが集まっています。第1話のチグリス星人は官警の姿で現れたりします。これを単に「お巡りさんに化けた」と考えるとそれだけですが「警察組織 に潜り込んでいる」と考えると…「実は既に地球人の何割かは宇宙人で、春日兄弟は それに気づいた不穏分子?」と考えることもでき趣深いです(これが先学の鉄人ティエレン28博士が提唱する「They Live・シルバー同祖説」です)。
  その他にも、他の宇宙人達が「光子ロケットの秘密を暴く」のを目的とするのに対し「光子ロケットの破壊、及び春日兄姉抹殺」のみを敢行する武闘派サイボーグ宇宙人キマイラ星人(←矢尻のような頭部には顔が無く、唯一のア イデンティティは両腕に着けられたキマイラ光線銃)、『ウルトラマン』の油獣・ペスターの様に二人が一つになったかと思うと分離して空中殺法を行う分身宇宙人ゴルゴン星人(←全身に入ったヒビ割れが彗星怪獣ドラコの様)などという連中が『シル バー仮面』には登場します。
  中には「地球の言葉がよく解らないので、地球人に翻訳させる宇宙人」なんてのもいました。彼らの星には単一の共通 語しか存在しないのかもしれませんね。
  この様にシルバー皇子は「毎週毎週」様々な設定の宇宙人と戦ってきたのですが、その「戦いぶり」も宇宙人達に負けず劣らずユニークなモノでした。中でも檀家の語りぐさなのが第9話『見知らぬ町に追われて(仮面宇宙人ドミノ星人登場←頭部の他に 肩・腿に合わせて五つの顔を持つ)』との一騎打ちです。この戦いでは「お墓の卒塔婆を引っこ抜いて打ち据える」などというヤンチャぶりを発揮する皇子なのでした。

 因みに、これらの宇宙人はガッツ星人に代表される"『ウルトラセブン』の後期宇宙 人"を手掛けたデザイナー・池谷仙克と、"Q→マン→セブン"とウルトラ怪獣を造り続けた高山良策のコンビによって創造されました。 クールでモダーンな「ウルトラ怪獣」と比較した場合、「縄文的」な土俗的力感に溢れた『シルバー仮面 』の宇宙人達はウルトラ怪獣の中心デザイナーである成田 亨に対する池谷仙克の「回答」だったのかもしれません…。

 さて「宇宙人の魅力」については以上のようなわけですが、それだけが『シルバー 仮面』の魅力ではありません。 「ドラマの魅力」、それこそがシルバー皇子最大の魅力なのです。

 そもそもが「シルバー仮面は春日光二が変身する」、この設定がドラマ的に「秘密で もなんでもない」という『シルバー仮面』です。ニチゲン朝が作品のアイデンティを 「特撮」よりも「物語性」に求めたことはここからも明白です。
  では『シルバー仮面』とは何か、シルバー皇子の戦いは・春日5兄姉逃亡の旅はどんな物語性を持っていたのでしょうか?
  恥ずかしながら、それは「青春の物語」です(*‥*)。

 特に市川森一氏がシナリオを書いた第5話『明日のひとみは(三角宇宙人ジュリー星人登場←螺旋縞のイカ、としか言いようがない)』と上原正三氏が書いた第7話『青春の輝き(前述のキマイラ星人登場)』は全エピソード中の白眉です。
  『明日のひとみは』は”春日ひとみを軟禁した言語学者・三浦(東野英心)はジュリー星人から地球言語のジュリー語訳を脅迫依頼されていた。そんな三浦は春日兄姉 を「宇宙人の仲間」と勘違いしていた。だがやがて三浦の兄姉に対する誤解が解けた時、彼は「何につけ意気地のない自分を変える為」にジュリー星人へ"武装闘争宣言" するのだが…”というエピソードです。ひとみとの接触で少しずつ内面をカミング・アウトしていく三浦を東野英心が素朴に演じており大変見応えのあるエピソードとなっております、ちょっと「若い荒俣 宏」みたいなルックスだけどね。
  それと、ひとみを演じる夏 純子さんのチャーミングさもモノ凄く見所です(#^_^#)… 大体こんな「美男・美女」兄姉は反則的であろう、MATアロー…。
  また、『青春の輝き』は”光子ロケット格納庫に一人残っていたひとみをキマイラ星人が急襲、キマイラ銃の光線をうけたひとみは失明してしまう。ひとみを一人にした 光三は責任を感じ、単独キマイラ星人を追いつめるが…”これは第1話以来何かと血 の気の多い末弟・春日光三の純粋でナイーヴな1面と、そんな光三を信じるひとみの 愛情を「落ち着いた作劇」の中に描いた好編です。全エピソード中でももっとも「兄 姉の描写」に力を入れた作品で、各兄姉が織りなす感情の綾がクライマックスを盛り上げる『シルバー仮面 』ならではの傑作です。
  それと、ひとみを演じる夏 純子さんのチャーミングさもモノ凄く見所です(なんだ、またかよ)。

 これら2作を含めた初期10話は兎に角「ドラマ」です。断言しても良いですが、 「日本国内に限って言えば、ことドラマの完成度に関して初期『シルバー仮面 』を凌ぐ特撮TVドラマは存在しません」。

 およそTVドラマという物はメディアの性質上「万人が絶対に理解できる大衆性」 が絶対条件となっています、ですから大なり小なり解り易く「細部を省略した様式 性」を持っています。これは「善し悪し」ではありませんTVは「そういう性質のメ ディア」なのです。
  カナダのマクルーハンも「シルヴァー・カッムェン、スッキ・デェス♪」言っていま した…妄想ですが。 兎に角、様式にまみれていても優れたドラマはありますし、様式にまみれたからこそ素晴らしいドラマもあるワケです。
  だがしかし、様式にまみれては届かないテーマを描く場合があるのも「ドラマ」です。「人の心の機微」を描こうとすればこの問題に必ずぶつかります。心の機微を ルーティン・ワークでは描くのは危険です、「ルーティン」はそれと解った場合にたちまち視聴者の心を冷めさせてしまうからです。

 特撮番組の様式を"脱・特撮"のキィ・ワードで壊し、裏切ったシルバー皇子。そして 『シルバー仮面』、その旅路はニチゲン朝の「野心の旅」でした。そして皆さんご存 知の通り旅は本来目指した目的地から大きく離れた場所を目指すべく、旅程を大幅に 変えることとなったのです………。

 《sound:ここから最後まで中島みゆきの…なんだっけ?NHK『プロジェクトX』の エンド・テーマ。あれね、アレ…》

 ……CX帝国新皇帝として君臨したミラー天皇の『ミラーマン』27%に対し、ニチゲン朝『シルバー仮面 』の視聴率はわずか7%と伝えられる…あまりに戦況に『怪 奇大作戦』に出演した岸田 森をレギュラー・津山博士に迎え、更にシルバー皇子は 元服、自ら「ジャイアント天皇」となられることとなった。
  だが既に時は遅く、この戦いの勝敗は火を見るよりも明らかであった。 結果、シルバー天皇は2クール・全26話をもって天子の地位を退くこととなった、 『シルバー仮面』放送終了である。
  その雰囲気を一言で表すなら「諸星大二郎の描いた『ウルトラセブン』」、その独自性、そしてニチゲン朝始皇帝として、シルバー天皇が怪獣文化を愛する者の記憶から消えることはないだろう。
  まさしく 「銀の光の流れ星(シルバー仮面・主題歌『故郷は地球』ヨリ)」の生涯であった…。 (T^T)

 その後ニチゲン朝は新皇「玉鋼の尊」を天皇に据えた『アイアンキング』で再び円 谷王朝『ミラーマン』へ戦いを挑むこととなった。「日曜ヨル7時」は戦場となり、 『ミラーマン』軍の戦線離脱をもってニチゲン朝の勝利と見る向きもある。だがしかし真の強敵はその後に来たのだ。
  "全身、これ「種子島」"。新時代の旗手・ダイナミック朝が擁する「魔神我の尊」、つまり東映の革命的巨大ロボット・アニメーション『マジンガーZ』である。
  最後に勝ち残ったのは特撮ヒーローではなかったのである。 時代の趨勢に抗いながらニチゲン朝は「日テレの里」へ逃げ延び、そこで「芭論3天 皇」を育て上げることになるのだが…それはまた別のお話。 いずれお話しすることもあるでしょう。

 というわけで、本日の講義・『シルバー天皇〜特撮南北朝時代をよむ』まずはお終い!!続きはそのうち、またいつか!! ごきげんヨホホォーイ!(←えのきどいちろうの声で)  ヾ ^_^ バイバーイ!!

《sounnd:和太鼓の音「ドン・ドン・ドン・ド・ドドン………」》


【憶えておこう!今日のポイント】

  • 「日本現代企画」と「円谷プロダクション」は兄弟会社だ!
  • 『シルバー仮面』はドラマを味わおう!
  • 「Q歴」を使ってみよう。例えば『仮面ライダー』の誕生はQ歴でAQ5年だ、 「『ウルトラQ』から『仮面ライダー』までの間に企画・製作された特撮TV番組は全てこの5年間に納まってしまう」なんてことが判るよ!

【豆知識】

  • 「シルバー仮面」は企画時『21世紀鉄仮面』とタイトルされていた、小栗虫太郎 の小説「二十世紀鉄仮面」からの着想でありましょう。その後の『アイアンキン グ』『スーパーロボット・レッドバロン』『スーパーロボット・マッハバロン』や創 英舎と社名変更しての『小さなスーパーマン・ガンバロン』『UFO大戦争・戦え! レッド・タイガー』全て「鉄仮面」である。好きなのか「鉄仮面」?
  • 第6話『さすらいびとの荒野』にはゲストに南 "シンシア"沙織が出て一曲歌ってくれる、ついでに佐々木 功も出るがこちらは歌わない。功はヘタレ博士の役である。
  • 「ゴルゴン星人はメロンが好物」などの素敵な知識は朝日ソノラマの『シルバー仮面 大図鑑』が発信源らしい、オークションなどでGetしよう!
  • キャラクターのソフト・ヴィニル人形はバンダイが出していた。HGシリーズにならない物かと思う今日この頃(-.-;)y-~~~先生はサソリンガが欲しいです。
  • 実相寺昭雄が演出した第1話が台北で放送された際、冒頭場面の画面があまりに暗かった(単に真っ暗け)為にTV局に問い合わせが殺到、電話回線がパンクしたそう です。
  • 先生のこの頃のTVスケジュールは18時から『好きすき!魔女先生』→『ふしぎ なメルモ』→『シルバー仮面』→『ルパン3世』であった。これらが全部"地上波・ 無料"だったのだから…濃ゆい時代である。ちなみに裏番組には『いなかっぺ大将』 や『ムーミン(新)』が放送されていた。
  • ('.')!団時朗の『少年探偵団BD7』もニチゲンでしたね"A^^;)

カット:ニャンちゅう

 

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