The Living Room Tour The Living Room Tour

Carol King

 

 キャロル・キングのライブ盤と云えば、'94年の『In Concert』、それから『Tapestry』がヒット・チャートに立っていた時のパフォーマンスを収めた『The Carnegie Hall Concert 1971』('96)があって、甲乙つけ難いところだけど、またまた傑作アルバムが出てしまった。『The Living Room Tour』('05)。

 オープニングの曲名通り「私のリビング・ルームにようこそ♪」といったコンサート趣向で、キャロル自身やけにくつろいでいて、お客さんをくつろがせてもいる。
 何より客が「キャロルを待っていた」ことが、このライブ録音の全編から伝わってくる。そして「62歳なんで、歌いたい歌がいっぱいあるの」と云うキャロルも、待っていたお客様にこの上ないおもてなしをしている。そんな風景がどうしてか感動的。
 『In Concert』のツアーとは打って変わったアコースティック・セットの弾き語りライブ。それで2枚組20曲は正直どーよ?と心配したけど、そんな懸念も吹っ飛ぶライブ運び。もうね、楽しくて楽しくて参りました。

 云うまでもなくそれは、彼女のメロディ・メーカーとしての才能ありきのこと。
 '02年の『Love Makes the World』でキャロルの健在さにシビレたけど、今回のような60年代から現在までの楽曲を網羅して組んだセット・リストから、改めてソングライターとしての現役さを痛感。'70年前後の“永遠の名曲”に偏りがちな評価を、一蹴する充実した曲、曲、曲。
 ダテに「ヒットソング・メーカー」をやってたわけじゃない。だからこそエヴァー・グリーンなナンバーも、ちっとも懐メロ色を感じさせない。嘆息。

 還暦を過ぎているだけあって、さすがに声は若い頃のようにはいかない。でもそれを補って余りある円熟した味が、いまのキャロルにはある。そしてその歌唱が胸を打つ(まあ、もともと「歌が巧い」ということで売っていたシンガーじゃないしね)。

 『Wishful Thinking』からゴフィン&キングのメドレーに繋ぐ下りは圧巻。
 そして…

 ラストの『Locomotion』では、僕は涙さえ落としてしまいました。
 泣くか?『Locomotion』で(爆)。フツー。

 音楽をやっていることの幸福。それと音楽を聴くことの幸福が、このライブ・アルバムには詰まっています。

 


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