Billy Vaughn 浪路はるかに
H.Tobias - P.Wenrich

ビリー・ヴォーン楽団

 

 夏雲の下を運転していて、ビリー・ヴォーンの『浪路はるかに(Sail Along Silv'ry Moon)』('39)なんかかかると、最高に素敵な気分になる。
 ゆったりしていて、うきうきもしていて、夏の青にフィットしてて、なのに郷愁を感じさせるメロディ。
 邦題そのまま、気持ちは浪路はるかにつれて行かれる。

 高校生時代僕は、ブラスバンドでトロンボーンを吹いていた。
 お決まりのスーザの曲が、僕は嫌いじゃなかった。いまも交響曲のオーケストレーションより、スーザを演奏する吹奏楽団を聴きに行く方が好きだったりするくらい。
 そのバンドでは他にもグレン・ミラーや、デューク・エリントンの曲なんかも演奏していた。練習も演奏も苦手だったけど、楽しかったな。
 トロンボーンという楽器は、主旋律を吹く場面が少なく、後打ちで「んぱ・んぱ」やってる地味なパートばかりだったが、アンサンブルの面白さはそのブラスバンドで知った。
 当時流行していた『宇宙戦艦ヤマト』や『ルパン三世』のテーマを吹く方が、僕には耐えられないくらいにつまらなかった。

 そういう選曲を、誰がしていたかは憶えていない(というか、当時は気にしていなかった)。ただ与えられたスコアのパート譜を、何の疑問も感想も抱かず、必死に練習していた。

 そんなレパートリーの中に、『浪路はるかに』があった。
 Bメロ(サビ?)の「ぱららぱららぱららぱらら、ら〜ら〜♪」を、コルネットがスタンディングで吹く姿を、斜め後ろからトロンボーンの大きなマウスピースを唇にくっつけて見ていたのを、なぜだか克明に憶えている。

 でも僕がこの曲から覚える郷愁は、そんな思い出あってのことじゃない。
 高校生時代、この曲を演奏していた時からそれは感じていた。

 家で『浪路はるかに』を鼻歌まじりに口ずさんでいると母親が、「懐かしい曲ね」とよく知っていた。僕の母親の世代に流行した曲なのかもしれない。
 少しだけ調べてみると、この楽曲が僕の母の世代の青春時代に洋楽を流すラジオ番組のテーマ曲だったり、新宿の広告塔から流れていたりとか、そんな事情もあったようで。

 てなことを踏まえずとも、なんとも素晴らしい曲であります。

 


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