全曲集 月がとっても青いから
作詞:清水みのる 作曲:陸奥明

菅原都々子

 

恋の片瀬の 浜ちどり
泣けば未練の ますものを
今宵なげきの 桟橋の
月にくずれる わが影よ
 戦後間もない昭和26年、菅原都々子の歌った『江の島悲歌(エレジー)』は、同名の大映の悲恋映画と共に大ヒットしたそうな。勿論、僕は知らない(笑)
 続く『連絡船の歌』も『江の島悲歌』同様、この世のオワリみたいな歌でヒット。
 快進撃はそこで途切れ、間を置くこと4年、菅原都々子は『月がとっても青いから』(昭和30年)を引っさげて復活。

 その経過はものの本からの知識なんだけど、『江の島悲歌』〜『江の島悲歌』の次に『月がとっても青いから』がリリースされた流れを踏まえて菅原都々子のアルバムを聴くと、当時の聴衆がどれだけド肝を抜かれたことだろうと想像してしまう。

 『月がとっても青いから』は、とってもヘンな歌だ。
 メロディもヘンだが、菅原都々子の歌唱もヘン。
 先にメロディがヘンだったのか、ヘンな菅原都々子のビブラートに合わせて作曲されたのかは知る由もないが、『江の島悲歌』の菅原都々子に『月がとっても青いから』を歌わせたプロデューサーの手腕はそーとーだ。
 作曲は菅原都々子の父・陸奥明。

 この屈託のない明るい歌は、100万枚という空前のセールスを記録する。現在の市場規模で換算すると、3,000万枚になるという。
月がとっても青いから
遠回りして帰ろう
あの鈴懸の並木路は
想い出の小径よ
腕をやさしく組み合って
二人っきりで サ帰ろう
 僕は最近「遠回り」という言葉がお気に入り。
 いい言葉だよね、「遠回り」(笑)
 せっかちな僕は本来「早い話」が好きで、遠回りなんてもってのほか。少しでもものごとを短縮して切り上げ、時間を有効に使いたいと心掛けている。だからノロマな奴が大嫌い。
 だけどね、遠回りして帰りたくなるような恋愛、それがね、キュンと胸に甘酸っぱいものを運んできてくれる。あ〜、遠回りしたい(笑)
 『月がとっても青いから』は、他のどんなラブ・ソングよりも憧れてしまう情景が、そぎ落とされた言葉で綴られている。
月の雫に濡れながら
遠回りして帰ろう
ふと行きずりに知り合った
想い出のこの径
夢をいとしく抱きしめて
二人っきりで サ帰ろう
 「月の雫に濡れながら」と、「夢をいとしく抱きしめて」がね、たまらないでしょ?(笑)
 あと歌詞カードを見て気付いたのが、「さあ、帰ろう」と聴いていた部分が、「サ帰ろう」であること。
 この詞を書いた人のセンスに、脱帽。

 しかし3番で事態は突如急変する。
月もあんなにうるむから
遠回りして帰ろう
もう今日かぎり逢えぬとも
想い出は捨てずに
君と誓った並木路
二人っきりで サ帰ろう
 何なに? 何があったの !?
 話の筋は見えない。見えないけど悲しい。
 メロディが能天気に明るければ明るいだけ悲しさが増す。
 「月があんなにうるむから」 …言葉を口に出すと、涙になっちゃいそうな時ってあるよね。そしてこの一行目から導き出された最終行は、1番、2番と同じ「二人っきりで サ帰ろう」なのに、どうにもならなないどうしようもなさが込められている。。。

 そう、月はロマンティックなのだ。

 


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