YELLOW MOON YELLOW MOON
THE NEVILLE BROTHERS

 

 6万年ぶりに火星が地球に大接近とかで、いつにないくらい夜空を見上げた。
 9月9日には「月と火星がランデブー」と、いまどき“ランデブー”もないよなと笑いながら、それでもその様にはロマンティックな気分にさせられた。

 そう、月はロマンティックなのだ。

 僕は月も好きだが、“月”とか“お月様”という言葉の響きが好きだ。
 “月”という言葉を聞いて、和モノな雰囲気を連想する人も多いかと思うが、僕が想う月はそこからは離れる。「雪月花」的な月ではない。だからと云って“ルナ”でも決してない。< むつかしい年頃なんだわ(笑)

 “月”を歌ったロマンティックな曲も多い。
ティタレンラディ ルナ 青いお月様
あの人に言って キスして欲しいって
そしてお月様 ねぇ 彼を返して
(『月影のナポリ』訳詞:岩谷時子)
月影のナポリ 森山加代子で有名なこのカバー曲は、実は先にザ・ピーナッツもカバーしている。ザ・ピーナッツの方の「お屋根のてっぺんで、ねぇ、恋をしちゃった♪」(訳詞:千家春)の方が好きかな。

 この歌からできたのかな、、、RCサクセションの『エンジェル』。
歩道橋わたる時  空に踊るエンジェル
お月様お願い あの娘返して
(詞:忌野清志郎)
 清志郎のお月様は切なくて切なくてたまらない。
くだらねえとつぶやいて
醒めたつらして歩く
いつの日か輝くだろう
あふれる熱い涙

いつまでも続くのか
はきすてて寝転んだ
俺もまた輝くだろう
今宵の月のように
(詞:宮本浩次)
 エレファント・カシマシの『今宵の月のように』は、所謂“ロマンティック”というニュアンスとは違うけど、とってもロマンティックな歌。そして断然イイ歌なのだ。
 実はエレカシ、こんな歌を演るグループじゃなかった。ちょっと大衆には受け入れられ難い音楽というか、一部の熱心なファンにしか支持されないような不器用なロックをずっと歌っていた。
 エレカシが『今宵の月のように』を歌い、しかもヒットしてしまったことで、その変身をよく思わなかった長いファンもいたようだが、こんな素敵な歌ならヒットを喜ぼうじゃないか! 決してポピュラリティに迎合しているわけじゃない名曲だと思う。
 余談だが、僕は何故か自転車を漕いでいると、「く〜だらねぇと、つ〜ぶやいて〜♪」とふいにこの歌が口をつく。夕暮れにTSUTAYAまで飛ばす時の定番ソング(笑)。
夜に寄り添う気分は 何て素敵
夜風に雲が流れて 月ひとしずく
(詞:井上陽水・奥田民生・小泉今日子)
 『月ひとしずく』は、作りかけのこの歌を小泉今日子が耳にして、あんまりいい曲だったんで貰って仕上げてしまった… そんなエピソードを聞いた。
何を言う 何も言うな
今夜の月もきれいだね
月ひとしずく 「今夜の月もきれいだね」。月の魅力は、そんなところにある。
 一言で片付けてしまった秀逸さに参った。
 で、これを奥田民生が歌うと全然そんな気分にさせられないのが不思議(まあ奥田民生は奥田民生で違う魅力はあるんだけど(笑))。

 同じ小泉今日子に『My Sweet Home』(詞:小泉今日子)という歌があって(これもいい歌なんだわ)、こちらは夕暮れから夜にかけて、月ではなく星が出てくる。
 「My Sweet Home」というテーマだと、月じゃなく星なんだね〜(感心)。
そう、それはボール紙に描いた海を渡るお月様
でも君が僕を信じれば
作り物じゃなくなるんだ
(『It's Only A Paper Moon』)
 1930年代のこの歌が僕は大好き。
 テータム・オ・ニールが父娘で演じた同名の映画は、僕のいちばんのお気に入り。
 無邪気で、淋しくて、愛しくて、そしてロマンティック。何もないからこそロマンティックになれる。そうか、満たされていたら、夢なんて見ないもんね。

 そしてやっと今回の主題(笑)、ネヴィル・ブラザースの『YELLOW MOON』('89)。
 アルバム・タイトルになっている『YELLOW MOON』も魂をえぐられるようなナンバーなんだけど、アルバム自体が荘厳で素晴らしい。

 ここまでロマンティックな月を語ってきてなんだけど、ネヴィル兄弟は全然違う“月”を見せてくれている。
 国柄が違うとここまで違うものなのか、それともニュー・オリンズが生んだ最高の兄弟の世界観が突拍子もないのか、その月への問いかけはあまりにも苦しい。

 そして収録曲の『神が味方( With God On Our Side)』(by Bob Dylan)が、ちょっとないくらいに胸にしみる。

 


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