ZOMBIE HEAVEN ZOMBIE HEAVEN

THE ZOMBIES

 

 ゾンビーズはビートルズに憧れて結成されたとか、アルバム『Odessey And Oracle』('68)は、『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』やビーチボーイズの『PET SOUNDS』の影響下で制作されたとか云われるけど、そういう事実は事実として、何ていうか、全く違うところからポンと曲が生み落とされたとしか思えないんだよね、ゾンビーズ。
 ゾンビーズはゾンビーズで、他の何者とも違う。それは“個性”も勿論だけど、このソングライターたちはどうやって曲の発想を得、作曲したのかが僕には皆目見当がつかない。

 レノン=マッカートニーは云うまでもなく最強の天才コンビ。でも何となくね、曲が出来上がるまでの経緯が判らないでもないというか、不遜な云い方をすれば、こんなふうにギターを掻き鳴らしたり鍵盤を叩いたりして曲を作ったんだろうな… ってことが推察できる。
 だけど、ロッド・アージェントの曲はね〜、例えば『SHE'S NOT THERE』を初めて聴いた時、どこをどうすればこんな曲が書けるのか、不思議でならなかった。
 鼻歌から発展した音符の並びじゃないし、だからと云って五線紙を前にああじゃないこうじゃないしたらあの勢いは出ないだろうし。単にああいうチャンネルというかモードが僕に備わってないだけの話かもしれないけど、この曲を作った人の頭脳に恐れ入った。天才だと思った。

 そしてその天才だと思った作曲家は、他にも「どうやったらこんな曲が書けるの?」ってな、高度でメランコリックな曲を書いていた。
 なのにゾンビーズは、2枚のアルバムを出しただけで活動を停止(いろんな不遇や悲劇もあったらしい)。おまけに2枚目のアルバムは、活動停止後に発売されている。

BEGIN HERE ゾンビーズを語るとしたら、そのセカンド・アルバム『Odessey And Oracle』になるんだろうけど、デビューアルバム『BEGIN HERE』('65)もまったくもって素晴らしいアルバムで、んなことならいっそボックス・セット『ZOMBIE HEAVEN』ひとつ持っていれば、彼らのたった3年の軌跡は網羅(アルバム、シングルのほか、未発表曲を収録)できてしまう。というわけでこのコラムでは『ZOMBIE HEAVEN』をタイトルに持ってきただけで、要は僕はゾンビーズが大好きなんだと…(笑)。

 で、いま『ZOMBIE HEAVEN』を通して聴いてみてる。いやぁ〜、いい。いいわ、ゾンビーズ。本当にいい。CDをかけて「はぁ〜」と陶酔する以外に何もすることがない(笑)。
 これをバンドで演奏したりするとまた、とてつもなくカッコいいんだろうな〜。

 メンバーの写真を見ると、正直、スター性を醸し出している奴はひとりもいない(爆)。オレに云われたかないだろうが、ルックスには恵まれていない(それが淘汰された原因?)。
 とにかく、曲の良さとボーカルの声の魅力がゾンビーズの全て。バンド名だって、足を引っ張ってるとしか思えない(それが淘汰された原因?)。
 そしてロッドのオルガン、クリスのベースを中心に組み立てられたアレンジ。な、なんておしゃれなんだ! 官能的ですらある。

Odessey And Oracle 『Odessey And Oracle』に至っては、先にビートルズとビーチボーイズの影響を書いたが、この2大グループを超えてしまってる。まじで。
 んなこと云いながら『PET SOUNDS』を聴いている時は「やっぱ『PET SOUNDS』が最高だよな〜」なんて悦に入ってるんだけど、『Odessey And Oracle』を聴いていると、これ以上のアルバムがあるだろうか? と思えてきちゃうから。絶対。

 日本ではGSブームの時カーナビーツがカバーした『好きさ好きさ好きさ(I LOVE YOU)』が一番有名なのかな。
 他にも、『She's Not There』『Tell Her No』『I Want You Back Again』『She's Coming Home』『The Way I Feel Inside』『I Remember When I Loved Her』『独房(Care Of Cell 44)』『Brief Candles』『Hung Up On A Dream』『This Will Be Our Year』『Butcher's Tale』『二人のシーズン(Time Of The Season)』… これでもかというくらいに、独創的で素晴らしい曲がいっぱい。

 解散後に『二人のシーズン』が大ヒットし、テレビ出演したゾンビーズは偽物だったなんて珍事件まで発生し、ロッド・アージェントとクリス・ホワイトは過去の音源や未録音曲などを整理して3rdアルバムの製作を開始。しかしそれもオクラ入りで実現せず。

 その後ミュージック・シーンに登場したポリスやXTCに、僕はゾンビーズの影を見たりしたが、やはりゾンビーズはゾンビーズ。
 哀愁を帯びたマイナー・コードの魅惑的ナンバーの中にぽんと置かれた『This Will Be Our Year』のメジャー展開がやけにセンチメンタルで、このコラムを書きながらも「やっぱいいわ、ゾンビーズ」と唸ってる次第で。

 


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