ドゥー・ユー・リメンバー・ミー ドゥー・ユー・リメンバー・ミー
作詞:安井かずみ 作曲:加藤和彦

YUKI

 

あなたに一日会えないと
それだけで人生にはぐれた
そんな気がしていた恋する女
そんな私を Do you remember me?
 ビートルズ以前の洋楽ポップスを想わせるメロディとアレンジ。さながら、フィル・スペクターがロネッツをプロデュースしたように、加藤和彦プロデュースの『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』('80)で突如現れたシンガーYUKIは、その後、岡崎友紀だったと公表される。

 このサウンド・アプローチはシーナ&ロケッツの『ユー・メイ・ドリーム』のようでもあり、囁くような歌声は多岐川裕美の『酸っぱい経験』のようでもあり、これら3枚のシングルを持っている僕はきっとこのテの曲に弱いのだろう(笑)。

 『奥さまは18才』な岡崎友紀は、それはそれは人気があった。そしていまだに彼女をフェイバリットとするファンは多いことも知っているし、僕の友人にもそういう男が1人いる。
 しかし僕自身は、岡崎友紀自身にはな〜んの思い入れもない。早い話、好みではない(爆)。

 だけどね、この歌はいい。
 いつ聴いてもいい。
 近年、『カバチタレ!』というテレビドラマの主題歌になり、なんたらという若いコがカバーしていたが、やっぱりそれも良かった。
 つまりは、曲が良いのだ。

 ウォール・オブ・サウンドを目指しているだろうアレンジもツボだが、例えばこの曲をハダカにしてギターだけの伴奏で弾き語っても、甘酸っぱく懐かしいのにどこか新しい旋律は失せず、結構胸がキュンとしたりする。さすが加藤和彦大センセイの曲。

 で、歌詞。
真夏の太陽がきらめく
砂浜で今でも憶えてる
それはしあわせになりたいと言った
そんな私を Do you remember me?

月日がたつのは
早いものだと
あなたも又
そう思うでしょうか
Oo ― Oo ―
 作詞は当時の加藤夫人、ZUZUこと故・安井かずみ。
 安井かずみの詞がまたいい。
 そしてこの方、どんなふうに詞を書いているのかさっぱりわからない。
 というのも、安井かずみが書く詞ひとつひとつにスピリットはあっても、彼女が書いた詞をまとめて見てみると、一貫したスピリットみたいなものが見えてこないのだ。

 『おしゃべりな真珠』(伊東ゆかり)、『わたしの城下町』(小柳ルミ子)、『危険なふたり』(沢田研二)、『雪は降る』(アダモ)、『赤い風船』(浅田美代子)、『ひなげしの花』(アグネス・チャン)、『愛してモナムール』(岩崎良美)、『この愛のときめき』(西城秀樹)、『あの頃、マリー・ローランサン』(加藤和彦)、『だいじょうぶマイ・フレンド』(広田玲央名ほか)、『戻ってきた恋人』(猫)、『ロンリー・ストリート・キャフェ』(吉田拓郎)、、、

 『わたしの城下町』と『赤い風船』と『ロンリー・ストリート・キャフェ』が、同じ人間の手による作品とは思えない。

 クライアントの依頼に応えられることがプロの作詞家の使命であるなら、さすがプロとしか云いようがないのだが、例えば阿久悠が書いた詞はやはりプロの詞に違いなく幅広い詞を残してはいても、阿久悠が書いた詞とわかる何かがある。しかし安井かずみの詞は、安井かずみの匂いを残さない。

 安井かずみのエッセイ(申し訳ないが、こちらは信じられないくらいつまらない)を読んだことがあるが、そのエッセイから感じる安井かずみに、
やがて別れの日がくると
おたがいに感じ始めた頃
ひとり旅に出た私を探しに
来てくれたこと Do you remember me?
 なイメージはさらさらない。
 さらさらないけど、この詞には『赤い風船』に通じる感じ入るものがある。それがZUZUの表には出ない一面なのか。。。
 メロディと相まって、グッと気持ちに寄ってくる。

アルバム ところで、《夜のヒットスタジオ》で、ナマでこの歌を歌うYUKIを観た記憶がある。
 このテのトーンの歌がナマでは難しいのはわかるが、いくらなんでも…と云いたくなるくらいヘタクソで吃驚した(笑)。
 シングルと同時期に出たアルバム『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』('80)のA面も、加藤和彦のセンス溢れる世界観をうまくYUKIが泳いでいる心地よい名盤。B面は要らない。

 


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