BY THE WAY BY THE WAY
RED HOT CHILI PEPPERS

 

 ある意味レッチリは、「もう十分」というところまで到達していたと思う。
 たび重なるメンバー・チェンジ、ドラッグ癖、ヒレルの死… 等々、山あり谷ありの20年の活動そのものがエキサイトで、そこから産み出される才能あふれる楽曲たちは常にグレイトだった。
 ヒット狙いのあざとい曲を提供するわけでもなく、それでもメジャーになったレッチリ。シングル『SCAR TISSUE』('99)の大ヒットとグラミー賞受賞、アルバム『Californication』('99)の1,300万枚の爆発的ヒットはその頂点と云っても良い。

 しかしそんな大偉業をプレッシャーに感じることもなく(いや、本当はとてつもないプレッシャーだった筈)、更なる傑作『BY THE WAY』('02)をリリースした彼らの才能と底力には、ただただ圧倒される。
 初めてラジオで表題作『BY THE WAY』を聴いた時には、あまりのカッコよさに顔がだらしなくなってしまいましたよ、僕は(笑)。

 僕の中でレッチリと云えば、バカ売れした『Californication 』よりも、『Mother's Milk』('89)『Blood Sugar Sex Magik 』('91)あたりなんだけど、それに遜色のないクォリティーを持っているね、『BY THE WAY』は。
 サウンド的には、なんか急にリバーブが大目になっちゃって、最初は肩すかしを喰らったような印象だったけど、過去偉大なアーティストたちは皆、ファンに肩すかしを喰らわせながら傑作を産み出してきたわけで、このレッチリの肩すかしも、回数聴いていくうちにどうしようもなく素晴らしいものに聴こえてくるから不思議。

 とにかく、歌もギターもとても表情豊かになっている。ボーカル・ハーモニーも際立っている。
 かと云って、ノリが失われることはなく、ヘビィな楽曲も多い。そのアグレッシブさは、攻撃的と云うより、ゲッティング・ベターな開かれた感情に裏付けられたものに聴こえる。
 演奏が上手いことはこれまでも証明済みだが、メロディーも練られたアレンジも秀逸。かえすがえすも極上のデキだ。

 今回のこの変化は、彼らが自分たちに対して、確固たる自信を持っていたからできたこと。僕と同年代のメンバーによるバンドが、いまだ成長し続けてるということは、ある意味驚きであり、励みにもなる。

 「まだ半分」と思うか、「もう半分」と思うか。
 そんなごたくを並べることなく、ひょうひょうと彼らは奇跡をやってのけてくれた。前に前に突き進んでくれた。

 流行の輪廻で、過去のモノが脚光を浴びることはこれまで何度もあったが、最近の傾向は巡り合わせではなく、みんなただ単に過去に逃げ込んでいるように僕には思える。タイム・スリップくそくらえ。
 ラストの『Venice Queen』での彼らの“輪廻”の捉え方。そこにプレッシャーを跳ね飛ばし、純粋な音楽で開拓に挑み続ける彼らの意気込みを見る。

 きっとレッチリは、まだまだ奇跡を起こしてくれる。

 


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