悲しくてやりきれない
作詞:サトー・ハチロー 作曲:加藤和彦
ザ・フォーク・クルセダーズ
『
帰ってきたヨッパライ
』の大ヒットの後、ザ・フォーク・クルセダーズのセカンド・シングルとして『
イムジン河
』は選ばれた。
この歌は、松山猛が中学の時に朝鮮学校で覚えた歌を、うろ覚えで加藤和彦に伝え、詞もうろ覚えなものを書き出し("鳥"に関する歌だと解釈していたらしい)、フォークルのレパートリーにしていた… というもので、故に原曲とはちょっとズレた歌ではあったらしい。
が、周知のようにその『イムジン河』は、発売中止(厳密には発売自粛)の憂き目に遭う。
イムジン河とは朝鮮半島38度線付近を流れる臨津江のことで、所謂“北”を指すところから、正式名称の"北朝鮮民主主義人民共和国"という表記は出来ないとレコード会社が恐れた結果 によるものだが、以来“放送禁止”が解ける92年まで、この歌が放送で流れることはなかった。
『イムジン河』が出せない! ということで、急遽フォークルは新しい曲を作らなければならなくなった。
プロデューサーに「3時間で曲を作れ!」と云われ、出版社の会長室に缶詰めにされた加藤和彦は、『イムジン河』の譜面 をバラバラにしたり、逆さにしたりしているうちに曲の発想を得る(このあたり、「『イムジン河』のテープを逆回転させたら曲になった」という伝説は、大袈裟らしい(笑))。
曲が出来上がると今度はサトー・ハチロー氏の処に連れて行かれ、すぐさま『
悲しくてやりきれない
』は完成する。
経緯はどうであれ、この歌は本当に悲しくてやりきれない。
リフの「かなぁ〜しく〜て かなしくて〜、とて〜もやぁりぃきれ〜ない〜♪」は、詞がピッタリ旋律にはまっていて、云いようのない寂寥感に襲われる。
そして自分が悲しくてやりきれない時、決まってこの歌が胸をこだまする。
いかにもサトー・ハチロー・ワールドな詞(詩と云った方がいいかな?)だけど、これはやはりサトー・ハチローと加藤和彦の二人の手柄。
永遠に残るだろう数少ない名曲のひとつ。
多くのミュージシャンがカバーしている。
最近耳にした奥田民生のバージョンは、実に悲しくてやりきれない名演だった。
吉田拓郎、おおたか静流、渡辺美里、PUSHIMのバージョンも聴いたことがある。
この春、コレクターでもなかなか手に入らなかったフォークルの『イムジン河』が復刻され、普通 のCD店に並べられているのを見た。
昨年の《紅白歌合戦》でも、キム・ヨンジャがこの歌を歌っていた。
日韓ワールド・カップ絡みで、この歌に限らず、日韓友好の動きがマス・メディアの中で盛んになっている。
何故いま、フォークルの『イムジン河』なんだろう…?
時代は変わったのかもしれないけれど、依然河は国境を隔てているわけで、ワールド・カップに併せて発売という流れが、悲しくて悲しくてとてもやりきれない。
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