挿絵:根本圭助 冬の夜
作詞者・作曲者 不祥

文部省唱歌

 

 マンションは気密性に優れているからか、暖かい。ウチなんかは真冬でもあまり暖房を入れない。家族で出掛け、誰もいなかった我が家の玄関を開けても、それだけでもう暖かい。逆に結露がひどいけど。

 子供の頃の冬は寒かった。一軒家で、それも安普請だった僕の家は、ストーブや炬燵なしには居られなかった。寒がりの僕は炬燵に入りながら背中ではストーブにあたり、綿入れまで羽織っていた(笑)。

 そして、みかんやおせんべいを食べながら家族で囲む炬燵が、な〜んか良かった。
ともしび ちかく きぬぬう ははは
はるの あそびの たのしさ かたる
いならぶ こどもは ゆびを おりつつ
ひかず かぞえて よろこび いさむ
いろりびは とろとろ そとはふぶき
 この歌は、父親が教えてくれた。自分の子供の頃を思い出す好きな歌… ってなことを云ってた気がする。

 テレビは勿論、ラジオも無かった時代の歌だろう。団欒の理想の姿がこの歌にはある。そして僕は僕で、僕の子供の頃を思い出す。
いろりの はたに なわなう ちちは
すぎし いくさの てがらを かたる
いならぶ こどもは ねむさ わすれて
みみを かたむけ こぶしを にぎる
いろりびは とろとろ そとはふぶき
 “戦の手柄”という言葉が出てくるが、戦争賛歌の歌では決してない。平気で暴力や殺人を描く現代の子供向けソフトよりも、遥かに平和を教えてくれる。

 「親父が全てだなんて云いませんよ♪」みたいな父で、僕には根深く父親への反発が植わってしまっているけれど、この歌を思い出す時、どこか父親を許してしまう。

 ささやかだけど、とても幸福な家族の対話。そのほのぼのとした暖かさに泣かされる。

 


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