POP POP POP POP

Rickie Lee Jones

 

 さて、秋の夜長、パソコンに向かいキーを叩きながら何を聴くか?

 今夜僕はリッキー・リー・ジョーンズの『POP POP』('91)を掛けています。シャルトルーズ・ジョーヌの緑をちびりちびりやりながら(笑)。

 リッキー・リー・ジョーンズは、その声がいい。取り立てて巧いわけじゃないけど、ある時は少女のように、またある時はすれた女のような表情を持つそのヴォーカルは、深い翳りと、圧倒的な存在感を湛えている。
 別に日本の演歌じゃないんだから、「15、16、17と、私の人生暗かった」をピックアップしなくたっていいんだけど、家出に中絶にドラッグとオキマリの転落パターンを踏んで、トム・ウェイツとの恋・別 離と、波乱の青春期が彼女の歌唱を育てた… と云ったらクサすぎか(笑)。

 25歳の時、都会の喧噪をテーマにしたアルバム『Rickie Lee Jones』('79)でデビューした彼女は、その中の1曲『恋するチャック(Chuck E.'s In Love)』でチャートの1位、グラミー最優秀新人賞を獲得と、華々しい滑り出しを飾っている。
 けれど新人とは云えこのアルバム、レニー・ウォロンカー&ラス・タイトルマンがプロデュース、参加メンバーもスティーヴ・ガッド、ジェフ・ポーカロ、フレッド・タケット、マイケル・マクドナルド、ランディ・ニューマン、レッド・カレンダー、ヴィクター・フェルドマン等、震えのくるような豪華さ。レコード会社もそーとー期待していたようだ。

 その1stもとても良いアルバムなんだけど、この季節にはやっぱり『POP POP』かな(笑)。
 『POP POP』ではこの異色のシンガー・ソングライターは、自作を1曲も歌っていない。そしてその収録されている曲がスタンダードやミュージカル、ボビー・ティモンズにジミ・ヘンドリックスと、ふるいにふるってる。で、アレンジがジャズ(…と云って差し支えないと思う)。

 ジャズ・ファンの人からは一言も二言もあるかもしれないけど、とってもスゥイングしてる。何たって、ベースにチャーリー・へイデン、ギターにロベン・フォード、テナーサックスにジョー・ヘンダーソンと、強力なバッキング。ロベン・フォードのガット・ギターがシビレる。

 その心地よい緊張感のあるバッキングの上に、何だかやたら可愛らしい彼女のヴォーカルが乗ると、さて、このアルバムはどういう位 置付けになるんだろう… ってな疑問も起きないではないけど、「そうだ!こうして夜静かにグラスを傾けたい時にぴったりじゃないか!!」と、次にはワイルド・ターキーのボトルに手が伸びたりする。<所詮は飲みたいだけ?(笑)
 とっかかりが無い分、本当にこんな夜に似合う。嘘じゃないから。試してごらんって。

 そう、それからリッキー・リー・ジョーンズのアルバムは、ジャケットがどれもいいんだよね〜。 それらをしげしげと眺めながら飲むのもいい(でも、何でこの『POP POP』だけ、こんなお茶目なジャケットなんだ?)。

 


+--prev---index---next--+

 

Copyright2001 Nyanchoo

DO,DE,DA