IMAGINE Real Love
John Lennon

John Lennon

 

 ジョン・レノンほど“眼鏡”と“Love”の似合う人はない。

 ギターを握った時にまず鳴らしてしまう音って誰でもあると思うんだけど(笑)、僕の場合はロー・コードのEかD。Eはロックというか、とっても黒い響きだよね。
 で、ここんとこの手癖は、気が付くと何故かDをジャラ〜〜ン。続いて口をつくのがレノンの『Real Love』。

 これは多分に映画の影響かな。
 '88年に公開されたジョンのドキュメント映画『イマジン』のタイトル・バックで、この『Real Love』のデモ・テイク『Boys And Girls』が流れる。
 デモだから、誰かに聴かせることを意識した録音じゃないんだ。アコースティック・ギター1本で、ほんとにさりげな〜く歌ってる。そんなシンプルなテイクなんだけど、一聴して涙が出そうになる良い歌だった。
all the little girls and boys
playing with their little toys
all they really needed from you
is maybe some love

all the little boys and girls
living in this crazy world
all they really needed from you
is maybe some love

why must it be alone?
why must it be alone?
it's real love
yes,it's real

i don't expect you to understand
the kingdom of heaven is in your hand
i don't expect you to awake from your dreams
too late for crying now it seems

all the little plans and schemes
nothing but a bunch of dreams
all you really needed to do
is maybe some love
 凶弾に倒れる前年、この『Boys And Girls』の歌詞を書き直して、ピアノでジョンは新たにデモを録音している。それがビートルズのアンソロジー・プロジェクトで復活した『Real Love』になるんだけど、正直云ってビートルズのデキには満足できない… というか、せっかくの名曲を台無しにしてしまっている。それはちょうどやはりジョンの『Across The Universe』を台無しにしてしまっているのと似ている。誰にも悪気はないんだろうけど、なんかちょっとな(笑)。

 ジョンは「all they really needed from you is maybe some love(あの子らに本当に必要なのは、ほんのちょっとの愛じゃないかな)」という元の詞を、「seems like all they really were doin was waitn for love(あの子らが本当にしていたのは、ずっと愛を待ち続けることだった)」に書き替えている。
 これは一見同じことを云っているようで、実は立場がまるきり変わってきちゃってるよね。それで次のフレーズが救いようのないとても淋しいものになってしまう。

 元の「why must it be alone?(なぜひとりぼっちでいるの?)」が「only to be alone(ただ孤独を知るだけのために)」に。
 どちらも結びは「it's real love(それが真実の愛)」に繋がっているんだけどね。

 ジョンが息子のショーンのために描いた絵が『リアル・ラヴ』というタイトルで出版されているんだけど、それは『Boys And Girls』のイメージなのかな。客観的に「愛が必要だ」と歌っている。
 でもそのボーイもガールも実はレノン自身の子供時代の、そして自分が子供を持つ身になっても拭い去れない愛の枯渇の姿なのではないだろうか?
 「必要なのはほんのちょっと愛じゃないかな?」なんてわかった風で云っておいて、自分が「本当にしていたのは愛を待ち続けること」だった。
 それが書き直された『Real Love』。

 自分の叫びに変わった『Real Love』では「ただ孤独を知るだけのために」「ただ怖さを知るだけのために」「真実の愛」を歌う。そして、
For I've been in loved before
But in my heart I wanted more
Seems like all I really was doing
Was waiting for you
 「以前にも恋はしたが、僕が本当に待っていたのは君だった」と、歌う。
 これはビートルズ時代の『In My Life』のコンセプトからあったもの。

 この“You”は果たしてジョンの埋めきれない想いを、本当に愛で満たしてくれたのだろうか?

 その答えは、ひとりDのコードを鳴らし、ギターでこの歌を爪弾いていると見えてくる。

 


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