LoveAndTheft Love And Theft

Bob Dylan

 

 還暦を迎えたボブ・ディラン。兎に角、絶好調というよりほかない。
 そんなディランのニュー・アルバムがリリースされた。タイトルは『Love And Theft』。直訳すると“愛と盗み”?(笑)

 90年代後半以降のディランのノリといったら、そりゃあ尋常じゃない。40年以上のキャリアを持って、こんなに革新に意欲的なミュージシャンを他に知らない。今年の日本公演のコラムにも書いた通 り、音楽をやっていることが楽しくて仕方ないといった面持ちだ。

 面持ちと云えば、ニュー・アルバムのジャケット。
 気味悪いくらいに柔和な顔をしている。若返った感すらある。前回の大傑作『Time Out Of Mind』('97)で、頂点を見せつけてくれたディラン故、もうさすがにタネは出尽くし、今回はリラックスして臨んだ結果 がこのジャケットの顔… 聴く前はそんな印象だった。

 ところが、これが絶好調の人間の強味か。凄いんだまた。

 う〜ん、凄いという言葉はちょっと合わないかな。
 リラックスしてることはリラックスしているのかもしれない。バンドは絶好調でツアーを回ってる、丸2年を共にしたボブ・ディラン史上最高のバンドと名高いメンツだし、何よりアルバム全体がナチュラルな感じがしてる。
 そして、迷いがない。

 正直、僕みたいにアタマの悪い人間は、ディランのニュー・アルバムっていうと、なかなかとっつきにくいところがあったりする。血としてディランが好きだから、身体はすぐに受け付けるんだけど、文学性の高い歌詞の難解さがネックになって、呼びかけられた気になるまでには時間が掛かってしまう。

 『Slow Train Coming』('79)以降それが顕著で、“キリスト教3部作”と呼ばれるあたりはいまだ当惑が抜けきれないでいる。

 『Good As I Been To You』('92)あたりからのディランは、アメリカン・プリミティブの追求というか、原点回帰の姿勢というか、過去に縛られずに過去を追求するみたいな感じがあって、その転がり方に僕はまた参ってるんだけど、今回の『Love And Theft』は、そういう意味では前作からの延長線上にありつつも、ちょっとオルタナティブで、初めから受け入れ易い。でも、逆にそこに重さが見出せたりして、だからディランはやめられない(笑)。

 そしてこのアルバムを聴いていると、このアルバムに辿り着くためにこれまでの試みがあったかのような気さえしてくる。

 ところでこの新作、アメリカ盤では初回限定でボーナストラックがあって、『I was Young When I Left Home (Previously unreleased from '61) 』と『The Times They Are A-Changin' (Alternate version from '63)』の2曲が付いているのですが、日本盤は抽選なんだわ。ちょっと、どうよ? これって(笑)。

 


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