夏にご用心 夏にご用心
作詞:阿久悠 作曲:森田公一

桜田淳子

 

 ということで、今回は桜田淳子。

 桜田淳子は、まあ唾を飛ばすほど「いいよ〜!」とまでは云わないけど、ちょっと過小評価されてるかな… と。例の宗教カンケーの件を抜きにしてもね。
 特に『はじめての出来事』('74)から『夏にご用心』('76)までのシングルは全部好き。

天使も夢みる 作詞は阿久悠でずっと一緒だけど、曲はデビュー曲の『天使も夢みる』('73)から『花占い』('74)までは、『黄色いリボン』('74)を除いて全部中村泰士による。この中村泰士のものが、僕的にはあまり好きじゃない。あ、中村泰士が嫌いってことじゃなくてね。中村泰士の曲にも、好きな歌はあるし。ただ、桜田淳子の歌の中では『天使も夢みる』は愛くるしいメロディで好きだったけど、『わたしの青い鳥』や『花物語』なんて、ちょっとな〜って子供心ながらに思ってたし。胸がワクワクしないと云うか。
 森田公一の『黄色いリボン』はね、良かった。良かったんで、桜田淳子陣営としても「お!」となったのかもしれないね、森田公一に対して。で、次の『花占い』で、中村泰士に見切りをつけたと(笑)。
 “見切りをつけた”なんて言い方はよくないか(笑)。中村泰士は中村泰士で、初期の桜田淳子のイメージを作り上げたしね、しっかり。そして森田公一は次の桜田淳子のイメージを作り上げた、きっちり。

 でも、どっちにしろ桜田淳子のイメージって、純朴と云うか、優等生と云うか、それはキャラだけの問題じゃなくて、やっぱり楽曲の感じも手伝ってたと思う。南沙織がちょっと洗練されたイメージなのは、筒美京平の書いた曲が洗練されてたからだと思うし。
 じゃあ森田公一の曲は洗練されてないから駄目なのか? って云うと、そんなこともなくて、あのわかり易さがとっても良かった。マイナー路線でシブく攻めていた山口百恵と比べると、わかり易い分ちょっと甘ったるい感じがして、歌そのものの評価としては分が悪い。
 だけどその『はじめての出来事』から『夏にご用心』までの森田公一によるシングル曲を並べて歌ってみたりすると、「桜田淳子もいい歌多いじゃん」って再認識できる。実際、失恋したともだち(女の子)と居酒屋で飲んでいて、何故か桜田淳子メドレーをやった時(爆)、酔った勢いもあってか、二人で大いに感動したことがあった、20代の頃だけど。

はじめての出来事はじめての出来事
 イントロが可愛い。これって、ヒットを狙って、かなり力を入れたんだろうなぁ。こういう歌えるイントロっていいな〜。
 「くち〜づけ〜のそのあとで〜 おしゃべりは〜しない〜で〜♪」「泣き出して しまうかも それほ〜ど心は揺れている♪」の後の「ああ、あな〜たにはなにげない♪」の「ああ」がいい(笑)。
 この詞はよく読めば、“はじめての出来事”の歌だってことがわかるけど、明るいよね。溌剌としてる(あっけらかんとしてるのとは違うよ)。山口百恵の「あなたに女の子のいちばん大切なものをあげるわ…」とは好対照。でも、どっちの歌もちゃんとティーンの女の子の大切な部分が見えてくる。女の子としてどっちが好きかと云えば、僕は『はじめての出来事』かな。当時も現在も(笑)。まあ、これは好みの問題だけど。
 2番の後の間奏がダサイ。

十七の夏
十七の夏 これも『はじめての出来事』路線というか、森田公一の提供曲は、すべてを混ぜてシャッフルして、サビを入れ替えても、違和感なく繋がってしまう(笑)。
 「特別〜に愛してよ〜 十七の〜夏だか〜ら♪」大腕を振って行進でもできそうな弾んだリズム。そこから「こ〜っちへおいでと〜 あな〜たがいうから〜♪」「裸足で駆けて〜 とんで行〜く 広げた腕の〜 その中〜へ♪」。
 歌い方も、優等生っぽくてGood!。

天使のくちびる天使のくちびる
 デビュー当時の“天使路線”復活かい !? と思いきや、「ふれないで〜 わたしのくちびるに〜 可愛い天使の〜 まま〜でいさせて〜♪」と来た!
 淡々とした8ビートが、ちょっと大人びた声のトーンとマッチして、落ち着いた雰囲気を醸し出している。ストリングスは、筒美京平っぽい。
締めの「あなたに決めている〜♪」で、ちょっと台無し。

ゆれてる私
ゆれてる私 及第点の歌。取り立ててピック・アップするところはないんだけど、な〜んかこの歌が好きなのは「木枯ら〜し吹く日の〜 枯れ葉のよ〜うに〜♪」の揺れてるメロディがいいからかな。このメロディと詞の相性は、2番の「ポロポ〜ロ爪弾く〜 ギタ〜のよ〜うに〜♪」ともマッチ。この時のボーカルのトーンもいいんだよね。
 「わたし〜のこ〜こ〜ろ〜は〜♪」と盛り上がって、「揺れている〜♪」に続く繋ぎでブレイクするエレキギターのカッティングがキメテ?(笑)。そう云えば、イントロからファンキーなエレキ・ギターを駆使ってるね。

泣かないわ泣かないわ
 イントロの「ハ〜ハ〜ハ〜♪」の女性コーラスに導かれるように「頬濡〜らす涙〜 そのままにして〜♪」と入るあたりがとってもいい。僕の中では、桜田淳子のベスト・ソング。
 「かなしみの後で生まれ変われる そんな言葉を胸に言い聞かせるのよ」「みんな流れていくわ つらい思いも…」といったフレーズが、ちょっとしみる。
 「わたし平気〜♪」の後の「きっと明日は元気に〜♪」の2拍3連メロをサビに持ってくるあたりが、当時のツボかな。

夏にご用心
 「夏は心の鍵を甘くするわ、ご用心!」
 この曲で一区切り。次の『ねえ!気がついてよ』は、路線に変わりはないけれど、楽曲に衰え(厭き?)が見える。『泣かないわ』で極めちゃったのかな。『夏にご用心』も、“夏”の雰囲気と勢いに助けられてるだけかもしれない。
 よくモノマネする人がやる桜田淳子の鼻にかかった声は、実はこのあたりから顕著になってくるんだよね。それまでは、決してあんなじゃない(笑)。『気まぐれビーナス』ではもう聴くのがつらいくらい。『サンタモニカの風』とかね。

ひとり歩き そうそう、あと忘れちゃならないのが『ひとり歩き』。落合恵子の小説を映画化した「スプーン一杯のしあわせ」の主題歌。「涙という字を〜書〜いて ちぎって窓から捨〜てま〜す♪」。作曲は筒美京平で、『はじめての出来事』の後に出た。これは名曲。

 中島みゆきをフューチャーした『しあわせ芝居』『追いかけてヨコハマ』『20才になれば』は、イメージ・チェンジの戦略としては成功してるし、決して嫌いではないんだけど、“アイドル・桜田淳子”としては、やっぱり『はじめての出来事』から『夏にご用心』までが忘れられない。僕の中の「青い性」なのかもしれない。

 


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