真夏の出来事 真夏の出来事
作詞:橋本淳 作曲:筒美京平

平山三紀

 

 あまりこういう言葉は使いたくないんだけど(笑)、“超〜カッコイイ”曲って、こういう曲を云うんだよね。
 なんたって、歌い出しの「彼の〜クルマに乗って〜♪」のメロディが超〜カッコイイ! 平山三紀のヘンな声と相まって、初めて聴いたときにはほんとゾクゾクした。そしてそのゾクゾクはいま聴いても感じる。

 まずモータウン調のベースのイントロ。このイントロは惹き付けるよね〜。一定のリズムで弾き続けるフレーズに、細かいハイハットの刻みが絡んで、昭和46年当時には考えられないようなグルーブを生み出している。なのに旋律は歌謡曲。歌に入ってからは、ベースとマリンバがユニゾンで展開。これがまた何てアイデアなんだ!
 このことについて筒美京平は「アレンジは洋楽を取り入れたとしても、メロディは歌謡曲にしないと、作曲者としてのアイデンティティが出ないからなんです」と語っている。
 このアイデンティティこそが、この『真夏の出来事』を日本のポップスの金字塔たらしめた要因なんだろうな〜。
 この歌は、従来の詞を書いて、曲を書いて、アレンジを施す… という行程ではない、サウンド作りのコンセプトありきでソングライティングを行うという手法を筒美京平が最初に確立した歌だと云われている。確かにこの歌には旧来の“歌+伴奏”という概念はない。

 実際筒美京平は作詞家の橋本淳に「平山三紀の曲だけは、誰にも負けないように、いい曲を書く」と、常々云っていたらしい。
 事実、平山三紀の曲には冒険的と云うか、実験的な曲が並んでいる。
 このシングルのB面『ブンブン』は、彼女のヘンな声を活かした思い切りカッコいいブルージーなナンバーだし、かと思えば次作の『ノアの箱舟』はスケールの大きい熱唱型ナンバー。続く『フレンズ』はホンキー・トンク・ピアノをフューチャーしたラグタイム風の歌で、当時の歌謡界ではとても異彩 を放っていた。
 「三紀ちゃんには同じパターンの曲を続けることはしない」というのが筒美=橋本コンビのポリシーであり、またそのそれぞれの楽曲のレベルの高さからも、どれだけ平山三紀という素材に惚れ込んでいたか、その意気込みも伝わってくる。

 が、そんな経緯や理屈抜きで、この歌は単純に楽しめ、単純に「いい歌だ!」と唸らされる。
 “別れの予感”を抱きながら寄り添う二人の詞の、乾いた切なさがまたいい。

 


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