つま恋 拓郎の夏、日本の夏

吉田拓郎

 

♪む〜ぎわ〜ら〜ぼうしは〜
 もうき〜え〜た〜
 それ〜でも〜 まぁ〜って〜る〜
 なつや〜すぅみ〜

 拓郎には意外と“夏”の歌が多いんだよね。“夏”の歌だけ集めてコンピが組めちゃうくらい。それもリゾートっぽい“夏”よりも、どこか生活に密着した“夏”って感じの歌が多い。でも、サウンドも含めて、と〜っても“夏”を感じる。
 チューブだけが“夏”じゃない!(チューブに何か恨みでもあるのかい!?(^^;ゞ) …ってことで、“拓郎の夏”をピック・アップしてみました(笑)。

せんこう花火
 この歌はね、短いし、なんてことない歌なんだよね。なんてことない歌なんだけど、そのなんてことなさの中にどうしようもない寂寥感みたいなものが詰まってる。長々と気持ちを綴ることだけが寂しさの表現じゃないってことが伝わる名曲。作詞は古屋信子さん。
 なんでもないのに、泣きました。

蒼い夏
 ギターのアルペジオの美しさが、とっても夏にマッチしてます。岡本おさみさんの詞は無邪気なようでとても哲学してます。「浜日傘ゆらゆら♪」の言い回しが、リゾート・ビーチ風ではなく、70年代の海水浴場って感じでイイです。
 「僕は平凡な愛妻家 もう何も考えまい…」  ギターは5カポのGで(笑)。

暑中見舞い
 ノーテンキな拓郎の声に胸躍る佳曲。
 「休んでいると落ち着かないってのは 知らぬうちに病んでるんですね」という詞が、な〜んか実感(休暇をとってると、なんか後ろめたい気持ちってするもんね(笑))。
 そしてそんなモヤモヤを払拭するかのように、「子供のように笑えないけれど、何も考えず」「何も考えず、何も考えず、きれいに笑っていたいんです」。
 これも岡本おさみ・作詞。

夕立
 個人的に、とても大好きな歌。
 抑えた気持ちが徐々に高揚していく詞とメロディがいい。そして、確かに“夏”が詰まってる。柳田ヒロのオルガンもGood!。岡本おさみ・作詞。

となりの町のお嬢さん
 フォーライフ第一弾ってことで、ヒット狙いミエミエの歌(笑)。
 「海辺の町は 夏の終わりと 酸っぱい恋で ミカン色にしらんふりして 暮れていく」ってところが、やっとクール・ダウンした焼けた肌を想い出すようで、とても切ない。

海へ帰る
 “夏の歌”? って訊かれると、ちょっと違うかな‥って感がなくもないんだけど。
 この歌が収められている『ローリング30』っていうアルバムの発売は78年の11月。でも、レコーディングはその夏で、その時の拓郎のオールナイト・ニッポンで、録音されたばかりの歌を逐一かけてくれて、それをテープに録って繰り返し聴いていたもんだから、このアルバムには“夏”の印象が強い(笑)。
 ボーカルが何故かあまりに下手なんで、聴き逃しがちな歌だけど、詞がとてもいい。
 「自分の名前をたしかに覚えられるかい 他人に教えてもらうだけ僕はバカだね」

アイランド
 篠島って島を借り切って催されたコンサートに併せて作られた歌。
 大した歌ではないけれど(爆)、滅多に針を落とさないだけに、たま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜に聴くと、79年のそのコンサートの思い出がありありと甦ってくる。
 最後は「人間なんて」で締めくくられるところがご愛敬。

愛の絆を
 これも“夏”の歌… ってわけじゃないのかもしれないけど、ちょっとハネ・ムーンっぽい雰囲気のある歌。
 「遠い国に二人で 愛する為に来た」
 涙ちょちょ切れの名曲。。。岡本おさみ・作詞。

いつも見ていたヒロシマ
 イントロのギターの音がまさに“夏”。それもウキウキ浮かれた“夏”ではなくて、ジリジリ責めたててくるような“夏”。こうした“暑さ”を唄った歌って、他に無いんじゃないかな。これがまさに拓郎らしい拓郎の醍醐味。
 岡本おさみ・作詞。

サマー・ピープル
 81年の資生堂夏のキャンペーン・ソング。の割には、ヒットしなかった(笑)。
 でもね、この歌は何回も聴くうちにその良さがひしひしと伝わってくる。能天気にも聴こえるけど、どこか思慮深さが隠せないのが岡本おさみの詞の神髄。
 しかし、拓郎は“夏”らしいメロディを書くのが巧いね〜。コード進行が『となりの町のお嬢さん』を彷彿とさせて、これが拓郎自身の“夏”のイメージなのかな。

サマータイム・ブルースが聴こえる
 甘くほろ苦い青春をフラッシュ・バックさせた歌。僕なんかよりひとつ上の世代の方々には、とってもリアルな風景なんじゃないだろうか。
 「砂浜のキャンプで抱き合った 君も僕もそれが初めてだった…」
 夏の思い出が美しいのは、からっとした陽気さの裏で、対照的な切ない思い出もできるから。そんなことをあらためて思い返させる名曲。
 シングルカットされたものと、ライヴで演奏されたものとでは、一部歌詞が異なる。シングルカットのバージョンでは、その頃拓郎がお気に入りだったレオ・セイヤーの『星影のバラード』的アレンジ・アプローチが聴いて取れる。
 詞は松本隆。

風のシーズン
 『無人島で…』ってアルバムは、ジャケットからして夏らしい(笑)。
 この歌はちょっと意味シンな感じだけど「もっと愛していいよ、人を好きになるのは、いいことだし」ってぇくだりが、ちょっとどーかなぁ…(笑)。松本隆は時々やっちゃうんだよね、こういうどうしようもなくクサイ詞を。
 メロディはとても爽やかです。

無人島で…
 軽いノリで、夏に聴くにはとてもいい歌。
 この歌も、松本隆のちょっと恥ずかしい(というか、こういうのは“恥ずらかしい”っていうのかな?)詞が気にならないでもないんだけど、ミディアム・テンポのレゲエのリズムがささっと聴き流させてくれる。

KAHALA
 タイトルからして、リゾート気分たっぷり(笑)。
 ちょっとリッチな愛の秘め事。アルバム『こんにちは』でのセルフ・カバーもGood !

夏が見えれば
 アレンジ、サウンドとも、とても夏らしい雰囲気を持っていて、殊にボーカルの処理の仕方が最高に夏らしい。目の前が明るく開けていくような気分になる。

サマルカンド・ブルー
 このアルバム自体、何を意図して作られたのかよくわからないんだけど、時間を置いて聴いてみると、無性に好きになってくる。
 この歌も、不思議な広がりを持った歌。
 作詞は、故・安井かずみ。

初夏'76
 この詞も、故・安井かずみ。
 同じ安井かずみの『戻ってきた恋人』を連想させるようなドラマ仕立て。

「うの」ひと夏 by 高杉
 タイトルが笑っちゃうくらいクサイんだけど、曲そのものはカッコイイ。
 夏のむせかえるような暑さがグイグイ攻め込んで来る(笑)。

ひまわり
 淡々としていて、そこがそこはかとない魅力になってる。
 この同名のアルバムに収められているナンバーは、どれも歌が巧い。落ち着き払っていて、そして声もよく出ていて。
 「こんな意気地なしの男たちが 追いかけるあてどない長い夢」
 この頃の拓郎を表しているかのよう。

楽園
 『無人島で…』のマイナー版?

夏・二人で
 及川恒平・作詞作曲で、及川恒平と、拓郎の最初の夫人であるところの四角圭子のデュエット曲のカバー。どうしてこの歌をカバーしたんだろ?
 本作が収められている『吉田町の唄』というアルバムでは、リッケンバッカーが気持ちの良いフューチャーのされ方をしているんだけど、この歌もその好例。オリジナルのアルペジオを主体としたアレンジとはかなり趣が異なる。イントロの編曲が素晴らしい。
 「ボクタチうきうき歩いた」「飾り窓」「ダルイ体を畳の上に危なっかしく投げ出した」「グリーンサラダが食べたいな 奇麗なレストランで」といったちょっと古くなった詞が、'70年代の夏を思わせる。

『いつもチンチンに冷えたコーラがそこにあった』
 タイトルだけで、各々の“夏の思い出”が甦ってくるかのよう。
 コカ・コーラのCMっていうと、洗練されたイメージのものばかりだけど、こういう憧憬を思わせる歌を使うのも一考なのでは?と(笑)。

海を泳ぐ男
 ちょっと詞がネガティヴなのは、例の人気番組で復活する前の隠遁に近い時期の作品だからか。

AKIRA
  尊敬するAKIRAともお別れだ
  自信はないけど一人でやってみよう
  夕陽に向かって走っていく
  あいつの姿を忘れない
  生きていく事にとまどう時
  夢に破れさすらう時
  明日を照らす灯りが欲しい時
  信じる事をまた始める時
  AKIRAがついているさ
  AKIRAはそこにいるさ
  シュロの木は今も風にゆれている
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (涙!)

夕陽と少年
 この歌は比喩として海を泳ぐ少年が歌われているので、出てくる言葉とは裏腹に、“夏”というより“人生”を歌っている。アタマから入っているリズムもずっしりと重い。詞は石原信一。

ベイ・サイド・バー
 海は歌われているけど、厳密には“夏”を歌ってるわけじゃない。石原信一の詞はどれも良いと思えるところが全然ないんだけど、この歌は好き。メロディの軽快さに助けられているのかな。
 アタマの「夕凪の海はせつなくて、桟橋に灯がともる」の旋律はこの頃の拓郎の作品の中でもピカイチ。「移りゆくものに疲れ果 てたから、この波止場まで抱かれに来た」のフレーズも、つい口ずさんでしまう。

全部抱きしめて・tropical
 云わずと知れた例の番組のテーマ・ソングのトロピカル・バージョン。ウクレレやスチル・ギターを配し、ハワイアンな仕上がりに。これがとってもキマッていて、目先も変わって心地よい。
 「星になった歌も過ぎた想い出も」「きみが黙るなら きみにささやいて」

夏休み
 何だかんだ云っても、名曲だよね。初めて聴いた瞬間に「いい歌だ!」ってビビッとくる歌ってあるけど、この作品もそういうタイプの歌。
 童謡のような雰囲気をたたえながらも、やはりこの歌はフォーク。表だって拳を振りかざしてメッセージを伝えようとしてはいないけど、フォーク。
 誰の心にも残っている夏休みが、この歌の中にある。

 と、駆け足で列挙してみましたが、ね、結構あるでショ。洩れもありそうだし、あと、他のアーティストへの提供曲にも『聖・少女』(西城秀樹)とかもあったり。
 FMでがんがんかかっている“夏”のラインナップとはまた趣の異なった拓郎の夏。今日は『蒼い夏』でも聴きながら昼寝します(笑)。

 


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