わすれじのレイド・バック
作詞・作曲 桑田佳祐

サザンオールスターズ

 

 サザンで1曲って云ったら『わすれじのレイドバック』かな。

 クリエイターっていうのはどこか「誰も自分のことをわかってくれない」とか「僕はここにいるよ、誰か僕のことを見てよ」って気持ちが強いんじゃないかと思う。それが作品を産み出す原動力になったり、発表の場を持ちたいという欲求になっていくんじゃないかな。
 忌野清志郎にはズバリ『わかってもらえるさ』って歌があって、それは『君が僕を知ってる』と共に不遇な時期にたまりかね、ストレートなメッセージになって噴き出したようなおももちさえある。

 桑田佳祐だって、「本当は見た目以上 涙もろい僕がいる」とか「四六時中も好きと云って 夢の中へつれていって」等々、自分の身勝手さを棚に上げて、男の弱さを伝えようとする歌があったりして、そうした“わかってほしい”症候が窺えたりするわけで。

 そんな中でも『わすれじのレイドバック』は男のワガママ直球勝負みたいな内容で、相手の女性側がこの詞を受けとめてくれるか否かで、自分自身もその女性を好きになれるかどうかを測ってしまいそうな、まあ、男の勝手な言い草だけど(笑)。取り敢えずセックスで愛の深さを表現しようとしてるからね、この歌は。

 セックスを覚えたてのティーンズの頃って、はっきり云って女のコのことなんて考えてないよね、男は。そりゃあしたい一心で口じゃあ何とでも云うけど、性的欲求と、女体を知りたいスケベ心と、そのコを征服したという満足感と、ただそれだけ。元気よく腰を動かして、自分だけイッちゃって、せいせいした気分。
 それがハタチを越えたあたりからかな、余裕もできて、相手のことを思いやるようになる。愛しているからこそ、相手を大切に想うからこそ、躯を合わせる… 当たり前なんだけど、いちばん大事なことの意味が見えてくるようになる。
 僕もちょうどそんな頃、この歌を聴いて。
 とっても切なかった…。

ささやくだけでいい
よがり声には萎えてく
まるで誰か知らぬ人と寝てるように振るまえりゃ
指でさぐることなどつらい
In your socket

 メロディは、桑田佳祐にしては珍しくひねりのないオーソドックスなコード進行で、そこがまた淡々としていていい。何でタイトルに“レイドバック”って入ってるのかな?
 ただ、エンディングの「ラララ♪」のコーラスはマッカートニーがやりそうな陳腐さで減点。

 


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