Blondes Have More Fun Scarred And Scared
Rod Stewart, Gary Grainger

Rod Stewart

 

 ロッド・スチュワートなら、ジェフ・ベック・グループやフェイシズも含めて、『Body Wishes』までのアルバムは全てアナログで持っているもんで、レコード盤を滅多に掛けなくなった最近は、『Storyteller』っていうCD4枚組のベスト盤でヒット曲ばかりを聴いている。
 それでも時々無性にオリジナル・アルバムを聴きたくなって、『ロッド・スチュワート・アルバム(An Old Raincoat Won't Ever Let You Down)』や『Every Picture Tells A Story』あたりに針を落としたりするんだけど、中でもまず聴かないのがこれ、『スーパースターはブロンドがお好き(Blondes Have More Fun)』(笑)。

 洋楽を一生懸命聴きはじめた中学生の時、毎週かじりついていたラジオ番組「全米トップ40」で初めてロッドの名前を知った。曲は『Sailing』。
 それから『今夜きめよう(Tonight's The Night )』、『Hot Legs』、『You're In My Heart』と大ヒットが続いて、飛ぶ鳥を落とす勢いで出たのが『アイム・セクシー(Da Ya Think I'm Sexy?)』だった。

 同時期にローリング・ストーンズが放った『Miss You』と併せ、評論家筋からは「○○までディスコ・ミュージックに手を出した」なんてこきおろされていたけど、評論家でなくとも、この『アイム・セクシー』を含む『スーパースターはブロンドがお好き』というアルバムはイヤだった。
 確かにそれまでの布石となったヒット曲にしても、日和った感がないではないけど、アルバムを通 してその歌を聴くと、とてもアーシーな仕上がりで、そんな部分にロッドの格好良さを見ていた僕としては、華やかで軽すぎるくらいに軽くなったこのアルバムはあざとすぎだと嫌悪感を覚えた。
 それでもこのアルバムは、ロッドにとって最大級のヒットとなった。

 この時高校2年生だった僕は、武道館でロッドのソロ初来日を観ている。
 チケットはハガキによる抽選だったんだけど、『アイム・セクシー』の異常なまでのヒットのおかげで競争率も高く、僕が出した数十枚のハガキはすべてはずれてしまった(友人で当てた男がいたので、何とか観覧には漕ぎ着けたが(笑))。
 『アイム・セクシー』に嫌悪感を覚えながらも、このステージは僕にとって最高のものだった。会場は否が応でも盛り上がり、ロッドはまさにロック・ヴォーカリストの頂点に立っていた。

 しかしメガ・ヒットの後遺症か、その後のロッドは本人からも曲からもスリルとスリムが失せ、'86年の『ロッド・スチュワート(Every Beat Of My Heart)』まで、どうもひたむきさが感じられなくなってしまうが、それでも僕にとってロッド・スチュワートが最高のエンターティナーであることに変わりはない。

 そして、ヒット曲ばかりを集めたオムニバスではなく、オリジナル・アルバムを聴いたときに「やっぱり捨てたもんじゃないな」と感じてしまう。
 久っ々に聴いた『スーパースターはブロンドがお好き』では、ジム・クーリガン、フィル・チェン、カーマイン・アピスといった全盛のロッド・バンドの最強の面 々が実にいい演奏をしていた(フィル・チェンのベースがとてもいい)。
 そして『うちひしがれて(Scarred And Scared)』という歌が、高校生の頃とても好きだったことを思い出した。ディランの『Only A Hobo』(実は本家より先にロッドで知った)にも通ずるような、訥々とした歌いぶり。しみる。あざといと云えなくもないけど、やっぱりいい。

 


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