ハートじかけのオレンジ ROCK'N'ROLL退屈男
大瀧詠一 作詞・作曲

大滝詠一

 

 多重録音に最初にハマったのは、中学2年の時。
 最初はギターを弾きながらハーモニーのパートを唄ったテープに合わせて生歌を唄っていたのが、今度はそれを録音したくなって。でも家にはテレコ1台きりしかないし(当時は高かったからね〜)。
 で、隣の家のお姉さんに無理云って、テレコを借りてきて。そんなに親しいワケじゃなかったんだよ、その隣の家。そこに借りに行くくらいだから、よっっっぽどやりたかったんだと思う(笑)。

 所謂、テープレコーダー2台のピンポン録音。重ねすぎると音が悪くなるから(ドルビーなんて無かったし)、バッキング・ギターを弾きながらコーラスのパートを唄って、次はそれにボーカルとリード・ギターを一緒にかぶせて… もうそんなことが楽しくてしょうがなかった。

 するとまた段々欲が出てきて。今度はバンド編成で録音したくなるわけだ。だけど家にはフォーク・ギター1本しかない。
 そこで、まず段ボール箱に毛布を詰めたものを叩いてバス・ドラ、缶の屑箱に本屋の袋を張ったものを叩いてスネアに見立てて録音(・・;) 。そのテープにそろばんをチャカチャカさせたものをかぶせて、リズム隊は出来上がり! ギターの低音を弾いてベース、あとはコード・バッキングと歌やリードギター、ハーモニカをかぶせて、自作の歌をレコーディングしていた。今でもそのテープはちゃんととってある(^^)。

 高校3年くらいの頃かな、TEACKから4chのカセット・マルチトラッカーが出て。ブルース・スプリングスティーンが『ネブラスカ』を録ったってやつの先行機種。
 もう、それが欲しくて欲しくて。オープン・リールの8chよりは手頃と云っても、高校生の小遣いで買えるような値段じゃなかったし、バイト代はみ〜んなデートに消えちゃってたし(笑)。
 その頃一緒にバンドやってた奴の家にテレコを持って行って、相変わらずピンポンしてた。

 大学生になって、やっと念願のカセットMTRを買って。YAMAHAポータサウンドの自動伴奏をリズム隊にして、文字通 り寝食を忘れて多重録音に夢中になってた。

 その頃かな。大滝詠一の『ROCK'N'ROLL退屈男』を聴いたのは。

 ナイアガラ・トライアングルの『ハートじかけのオレンジ』のB面か何かだった。確か。
 大滝詠一の中では、“ノベルティ・ソング”に位置するだろうこの歌、初めて聴いた時には可笑しくて可笑しくて、笑いすぎて涙が出てきた(笑)。だけどこの涙、可笑しかったからだけじゃない。
 …この多重録音の極みみたいな歌をレコーディングしている時、大滝詠一は心底愉しかっただろうな、至福の時を送れただろうな‥ そんな光景を想い、勝手に熱くなってしまった(笑)。

 元来、幕の内弁当的なサービス精神旺盛の大滝詠一の中にあって、これでもかという限りのドゥ・アップ・パターンの網羅。韻を踏んだ歌詞も相当きてる。

 そして多重録音の一番の感動は何と云っても、その全てのパートが合わさった時。。。
 この『ROCK'N'ROLL退屈男』のミックス時、かなりイケたんじゃないだろうか。僕だったら昇天してる(^^;ゞ

 社会人になって、8chのカセットMTRを買って。器材もそれなりに揃えて(散財したよ〜)。まあ、趣味の範囲でしこしこやってたわけだけど、やっぱりその時は寝食忘れてた。こんなに夢中になれることって、他にない。
 今じゃ、デジタルのMTRもかなり安く買えるようになって。なのに今度はそんなことして遊んでる時間がまずない(T▽T)

 まずなくて、ホントしょげちゃうんだけど、『ROCK'N'ROLL退屈男』を聴くと、かなり元気が出る(爆)。

 


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