J.Spence Great Dreams From Heaven

Joseph Spence

 

 ライ・クーダーが好きでさ(笑)。
 中学から高校にかけてかな、ライ・クーダーのアルバムを1枚1枚揃えていって。夜、ベッドに寝転がりながら彼のレコードを掛ける。何かをしながらのBGMというより、考え事をしながらのBGMって感じだったかな。それとも、ライ・クーダーを聴いてると、いろんな事がアタマを巡ったのかな?。

 高校生の頃は、とりわけ『JAZZ』ってアルバムが好きで。ひとつの映画や大河ドラマを観せられてるような、通 して聴くと大きな充実感が味わえた。
 だからこのアルバムは、CDで聴いている今でも、シャッフル再生にはせず、ちゃんとアタマから順番に聴いてる。また、そう聴かなきゃ、このアルバムの醍醐味は得られない。

 で、この『JAZZ』の中に入っていた『Great Derams From Heaven』。この曲を初めて聴いた時、自分の潜在意識の奥から、善いことも悪いこともすべて引っぱり出されて、「まあそれはそれとしていいじゃないか、明日に想いを馳せようよ…」なんて云ってくれてるような気がして、切ないながらもやさしい気持ちになった。
 改めてタイトルを見たら、『Great Derams From Heaven』なんて、まさにそのものズバリで二度びっくり。

 この曲の作者が気になりだしたのは至極当然のこと。そしてよくよく調べてみると、ライは結構この人の曲を取り上げていた。
 その人が、ジョセフ・スペンス。

 ジョセフ・スペンスはカリブ海バハマ諸島のギタリストで、1910年生まれ。ちなみにロバート・ジョンソンが1911年生まれだから、まあそのくらい古いひとだということ。
 ものの解説によると、サミュエル・チャーターズが偶然バークリー大学のアーカイヴでバハマ音楽を耳にし、訪れた島で偶然バハマの誰とも違うギターを弾くジョセフ・スペンスに出会う… というきっかけから徐々に知られていくようになったらしいのだが、正直云って、期待に胸膨らませて彼自身の演奏(Pヴァインから2枚のアルバムがリリースされている)を聴くと、結構ひっくりかえる(笑)。

 結構ひっくりかえるんだけど、やはり聴き込んでいくうちに見えてくるもの、感じとれるものがあるのも確かで、ライ・クーダーやグレトフル・デッド、ジョン・レンボーン、タジ・マハールといった面々がジョセフ・スペンスにハマった理由もわかる。

 ジョセフ・スペンスのギター・スタイルは、6弦を一音下げた“ドロップ・Dチューニング”。そこから南の島の人特有の「日が昇るから起き、日が沈んだから寝る」みたいな(笑)、ゆったりしたベースラインの旋律が奏でられる。
 その演奏は、オーディエンスにではなく、自分に向けられているように思える。そこが心に訴えかけてくるのかな。
 なのに、ブルースと印象が違うのは、やはりバハマの海の成せる業だろう。
 兎に角、嫌なこと全部忘れさせてくれるようなメロディが、素朴で気持ちイイ。

Out on the rolling sea さて、ここに『Out On The Rolling Sea』というアルバムがあります。これは、ジョセフ・スペンスへのトリビュート盤で、ヴァン・ダイク・パークス、デヴィッド・リンドレー、タジ・マハールといった名うてのミュージシャンが彼の曲を思い入れたっぷりにカバーしています。
 このアルバムの方が、「どれ、ちょっと聴いてみようかな‥」って方にはとっつきやすいかもしれません。

 


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